世界における人口増加率について|国やエリアごとに解説
世界の人口はどんどん増える一方で、資源や食料が取り合いになるという話を耳にします。
そんな一方で、日本にいると高齢化と少子化が進んでいて、どんどん人口が減っているという話も耳に入ってきます。
世界における人口は増えているのでしょうか。
それとも、日本のように減っている国もあるのでしょうか。
この記事では、世界の人口増加のトレンドについてご紹介した上で、これから先どのような国が人口が伸びていくのか、そして減っていくのかもまとめました。
国やエリアによってもバラつきのある人口問題について、大きな視点で捉えてみましょう。
世界の人口増加率はどれくらい?いつまで続くの?
世界全体という大きな規模でみると、どれくらいの人が地球で暮らしているのでしょうか。
あまりにも大きな数字ですが、考えてみたことはありますか?
現状世界の人口は77億人
国連人口基金が発表したデータによると、2023年の世界の総人口は80億4500万人です。
これだけ大きな数字だと、イメージするのもちょっと難しいというのが正直なところです。
そんな中でどの国が人口数がもっとも多いのでしょうか。
改めて聞かれると答えられない方も多いのではないでしょうか。
- 1位:インド 14億2,860万人
- 2位:中国 14億2,570万人
- 3位:アメリカ 3億4,000万人
- 4位:インドネシア 2億7,750万人
- 5位:パキスタン 2億4,050万人
こうしてみると、TOP2の圧倒的人口の多さが目立ち、3位以下とは全く違う規模感であることを目の当たりにできますね。
そしてこれまで1位だった中国をインドが抜く結果となりました。
そんな中で2023年の日本は、総人口ランキングでは1億2330万人で世界第12位でした。
参考:世界人口ランキング・国別順位 2023年 UNFPA版
2050年までの30年間でさらに20億人増える見込み
日本は人口が減っている国の一つですが、世界全体でみるとまだまだ人口増加の余地があります。
国連の発表している見込みによると2050年までの残り30年弱で、さらに20億人増えるのではないかと言われています。
2050年には97億人レベルに到達する見込みとなっています。
参考:世界人口推移について
とはいえ、これはあくまでの推測値。
世界で猛威を振るっている新型コロナウィルスなどの突発的事項が発生すると、人口増減に与えるインパクトは見て見ぬふりできません。
沢山の死者数を叩き出すうえ、先行きの不透明さから出産を控える人も増えています。
数年後の、各国の人口増加率・減少率に影響が見えてくることでしょう。
また、悲しい現状ですが戦争や紛争などの人的原因もいまだに人口減少に影響を及ぼしています。
2100年目前が人口増加のピークか?
国ごとに人口増加率・減少率に幅はあるとはいえ、世界全体でみると右肩上がりで増えている総人口数。
いったいどこまで増えていくのでしょうか。
国連経済社会局人口部の発表『世界人口推計2022年版』によると、世界人口は2030年に約85億人、2050年には97億人に増える見込みです。
2080年代中に約104億人でピークに達し、2100年までその推移で留まると予測されています。
参考:世界人口のピークについて
世界の人口増加率を上げる要因とは?
「人口が増えている」「減っている」と言いますが、何が要因となって数字の増減が決まるのでしょうか。
改めて考えてみましょう。
次の世代が生まれてくること
人口が増えるためには、新しい子どもが生まれてくることが必須条件となっています。
今、その国で暮らしている人たちは着々と寿命を迎えて減っていくもの。
だからこそ、途切れることなく次の世代が生まれてくるというのが、とにかく一番重要となっています。
日本においては出生率の低下が話題になることが多いですが、全世界で見ても女性一人の産む子供の数は着々と減少しています。
1990年には3.2人だった出生率が、2019年には2.5人まで減っていて、2050年には2.2人へと減少するのではないかと予想されています。
具体的には出生率2.1以上が目標
出生率を見るときのポイントは、夫婦二人から次の世代がどれだけ生まれてくるか?という点です。
つまり、親世代2人から、3.2人生まれていた1990年時点では次世代の方が親世代の人口を上回ります。
子だくさんの時代はどんどん人口が増えていくということですね。
一方、日本においては厚生労働省の発表によると2021年の出生率は1.30と低い数値を叩き出しています。
これはどういうことかというと、夫婦二人から1人しか子供が生まれていないということ。
ざっくりと計算すると、次の世代は半減してしまうということになります。
この計算を理解すると、出生率は少なくとも2.1以上を保っていないと、次の世代が、親世代の人口をキープすることはできないということが分かります。
死亡率が下がること
人口増加率を上げるためには、新しい世代が続々と生まれてくることはもちろんですが、同じく死亡率が下げるという点も見逃せません。
医療の発展や社会保障制度が整うことで、救える命を守れるようになればなるほど、失われる命が減っていきます。
実際に国によってバラつきはあるものの、世界における平均寿命は着々と増えています。
1990年時点では64.2歳でしたが、2019年には72.6歳と大きな伸びを見せました。
さらに2050年には77.1歳まで伸びるとの見立てもあります。
とはいえ、先進国と開発途上国の間で平均寿命に大きなギャップが生まれているのも現状です。
先進国では助かる命が、相変わらず途上国では失われているという事態は、今でも続いています。
亡くなるのは高齢者だけでない現状
日本で暮らしていると「死亡率を下げる」と聞くと、高齢者の医療を手厚くしてできるだけ長生きするように…と考えてしまいがち。
もちろんそれも間違いではありません。
ただし、世界に目を向けると亡くなってしまうのは高齢者だけではありません。
生まれたての赤ちゃんの死亡率、出産に伴う妊婦の死亡率、さらには小学生になる前の子供の死亡率は、特に発展途上国において高いという悲しい現状があります。
先進国であれば適切なワクチン接種や医療を受けることで防げる可能性が高い要因によって、幼ない命が失われているという点は忘れてはいけません。
世界において人口増加が予想される地域・国とは?
まだまだ右肩上がりで増えていく世界人口。
どの地域・国において人口は増えていくのでしょうか。
大幅な人口増はインド・ナイジェリア・パキスタンなど9か国
国連のレポートによると、2050年までに伸びていく人口のうち半分以上は、特定の9か国にて発生すると予想されています。
どのような国がランクインしているのでしょうか。
インド、ナイジェリア、パキスタン、コンゴ民主共和国、エチオピア、タンザニア連合共和国、インドネシア、エジプト、アメリカの9か国です。
特に、サハラ以南アフリカ(上にランクインしているコンゴ、エチオピア、タンザニアも含まれる地域)は、依然として高い出生率を保っており、2050年までの間に人口が倍増すると予想されています。
労働力が増えることで経済成長につながるか?
人口増加率の高い地域で大きな問題となるのが、多くの労働者世代が職にありつけるのか?という点です。
とくに発展途上国においてみられる傾向ですが、労働人口はどんどん増えているのに、仕事がないとなると、人々は暮らしていくことができなくなります。
貧困生活から抜け出すのが難しいという訳です。
この点をうまくコントロールできないと、若者世代の未来は明るいものにはなりません。
逆に考えると、国には若い働き手がたくさんいるということ。
政府の政策などがうまく整い、労働力としてうまく活用できれば、経済成長が飛躍的に伸びる可能性もあります。
中国を抜いてインドが人口1位に躍り出る日も近い
冒頭の人口ランキングで1位が中国、2位がインドとご紹介しましたが、実はこのランキングがもう少しで入れ替わるのではという説も浮上しています。
インドにおいては現時点でも爆発的に人口が伸びていて、数年後の2027年頃に中国の数字を追い抜く可能性があります。
3位以降とは圧倒的に人口数の異なるこの二か国は、 この先どのような人口の増減を見せていくのでしょうか。
全世界が人口増加の道をたどっているわけではない現状
世界の人口増加率は留まることを知らず、今世紀末頃までは右肩上がりで伸びていくと予想されています。
一方で、私たちの暮らす日本のように既に「減少傾向」に突入している国も増えているのも事実です。
私たちの暮らす日本は人口が減っている国
2021年の日本は総人口が1億2,560万人でしたが、これは前年と比べると10万人ほど減少しています。
日本においては世界でもダントツトップの平均寿命を誇っていますが、一方で出生率が目も当てられないほど低い現状が続いています。
前出の出生率が1.3という低さに加えて、 特に2020年以降は新型コロナウィルスの影響もあり、不透明な将来を懸念して子供を控える夫婦も増えています。
高い移民流出率が理由で減少する国も
日本のように低い出生率が原因となって人口が減っている国もありますが、世界に目を向けると高い移民流出率が原因となっている国もあります。
戦争や紛争によって国民が外に逃げ出すケースもあれば、移民労働者に対する需要があり、仕事を求めて他国に流出してしまうケースも増えています。
日本に暮らしていると少子高齢化の方を耳にすることが多いので忘れがちですが、世界に目を向けたときに覚えておきたいポイントです。
世界の高齢者人口率も上がりつつある
世界における平均寿命が増えていることで、国ごとにばらつきはあれど、世界の高齢者人口率も上がってきています。
世界人口の11人に1人が65歳以上の現状
現時点では世界の人口の9%に当たる、11人に1人が65歳以上となっています。
医療の発展などに伴って、平均寿命が延びていることの証です。
喜ばしい数字であることは間違いないのですが、逆をとると「労働年齢人口」、つまり高齢者を支える働く世代とのバランスがとりにくくなるということ。
高齢化が進むことで、 年金や社会保障制度などの維持が苦しくなるというリスクがあるということを意味しています。
2050年までに高齢者は16%にまで増える見込み
平均寿命はこれからも延びていくと想定されているため、2050年までのあと30年間で高齢者の割合は総人口の16%(つまり6人に1人)まで上がっていくと想定されています。
北アフリカや東南アジア、ラテンアメリカなどの地域においては、65歳以上の人口が倍増するのではとさえ言われています。
高齢者の年齢が増えるとなると、公的の医療の整備や年金、社会保障制度をどのように維持していくのかが要となります。
とくに高齢者が増える地域では、早い段階で手を打つ必要が叫ばれている現状です。
日本においてはすでに約3割が高齢者という現状
日本で暮らしているとお年寄りがどんどん増えていることは体感できますよね。
実際のところ日本における高齢者人口は着々と増えていて、総務省が発表した数字によると、2021年度時点で65歳以上の高齢者は29.1%にも上るそうで、人口の約3割が高齢者ということになっています。
世界の平均値と比べると圧倒的に高い数字だということが分かると思います。
まとめ:世界の人口増加率は右肩あがり|地域によってバラつきあり
世界の人口増加率は引き続き右肩上がりを続けています。
2023年の世界の総人口は80億4500万人と増えていますが、この右肩上がりの状況は2100年頃までまだまだ続くと想定されています。
一言で「世界の人口が増えている」と言っても、細かく見ていくと「人口が増えている国」と「減っている国」があり、複雑な事情が絡みながら、トータルで右肩上がりという状況です。
日本だけに目を向けていると、少子高齢化は留まることを知らず、人口は減っていく一方…という話しか耳にしません。
しかし、世界に目を向けてみると、人口が増え過ぎていて「働く世代が仕事にありつけない」「食料不足に陥りかけていてどうしたものか…」という真逆の国もあるということです。
時にはマクロの視点で世界を俯瞰してみることも大切ですね。
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