ジェンダーハラスメントの対策!先入観で話すのはやめよう
「女の子なんだから女子力をつけなさい」
というセリフを、言われたり、無意識に言っている経験ありませんか?
ジェンダーハラスメントはセクシャルハラスメントと違い、男なんだから、女なんだから、という潜在意識が原因で相手に嫌な思いをさせるハラスメントです。
セクシャルハラスメントは男女雇用機会均等法で処罰の対象となりますが、ジェンダーハラスメントに特別な法律はなく、法的な措置が適応されないため、精神的な苦痛を受けやすい特徴もあります。
学校や会社で、それセクハラじゃない?という会話はあっても、「いまの発言、ジェンハラじゃない?」という会話をした経験がある方は少ないですよね。
本記事では、まだあまり知られてないジェンダーハラスメントについて、具体的な例と対応策についてみていきましょう!
ジェンダーハラスメントの感度が低い日本
世界経済フォーラムが公表した2021年のジェンダーギャップ指数をみると、日本は先進国で最低レベルです。
156ヵ国中120位で、周辺諸国の中国や韓国はじめ、ベトナム、インドネシアなどASEAN諸国より低い結果です。
特に、経済分野や政治分野のジェンダーギャップが大きく、女性が会社の管理職に就きづらかったり、行政のTOPはいまだ男性ばかりの現状です。
立憲民主党では、執行役員の半数に女性を起用するなど、少しずつ改善されてきていますが、世界と比較するとまだまだです。
職場のジェンダーハラスメント!判例ランキング
出典:「<働くみんなのホンネ調査>「職場のジェンダーハラスメント」について調査を実施」より
株式会社ワークポートが公表している調査結果によると、男らしさや女らしさを押し付けられた経験が「あり」と答えた人は、全体の約30%を占めています。
職場のジェンダーハラスメントとして、TOP2の判例を紹介します。
1つ目は、男は力仕事、女はお茶汲みといった性別を理由とした業務や対応の強要です。
2つ目は、早く結婚しないの?子どもは産まないの?といったプライベートの過干渉です。
なかには悪気がなく、一般的な認識と思って発言していることもあると思いますが、気づかないところで相手を傷つけていることも、職場のジェンダーハラスメントの特徴です。
会社が取り組むべき社内ルールや体制
ジェンダーハラスメントを防止するために、企業が実施するべき具体的な対策は下記の通りです。
- 育児休暇の推進
- 昇進や昇給が平等に行われる
- 実績に応じて、女性にも管理職や役員のポジション用意
- 男性と女性の相談役を社内で設ける
- 定期的に実態調査のヒアリングを行う
従業員の数が、男性や女性のどちらかに偏りがある場合はジェンダーハラスメントが起きやすいです。
会社として取り組むべき対策として、まず第一に、男性も女性も性別に関係のない昇給制度や福利厚生等のルールを定めましょう。
ライフタイムイベントとなる産休や育児がキャリアや人間関係に影響しないように、ルールを定めるのも会社の仕事です。
性別に関係なく、誰もがはたらきやすい環境を整えましょう!
ハラスメント対策を公開することは、企業の好感度を高め、従業員の勤続年数が長くなったり、採用の応募件数が増えたりすると、企業にとっても従業員にとってもwin-winです。
職場ハラスメントの種類
ジェンダーハラスメントのほかにも、
- パワーハラスメント
- セクシャルハラスメント
- モラルハラスメント
- マタニティハラスメント
など、職場で問題になるハラスメントは全部で50種類以上あると言われています。
常に対等な関係で相手に敬意を持ち、自分が発する言葉が相手を傷つけていないか?という視点をもつことが、ハラスメントを解消する第一歩です。
ジェンダーハラスメントに立ち向かう!嫌な思いは伝えよう
ハラスメントをしている本人は、嫌な思いをさせていることに気づいていないケースが多いです。
そのため、男なんだから、女なんだから、というセリフを言われて、違和感をもったら、自分の気持ちを伝えましょう。
とはいえ、職場環境によっては言いづらかったり、会社に相談窓口がないケースも多いのが現状ですが、その場合は、労働組合に相談しましょう。
匿名でOK|厚生労働省の相談窓口
厚生労働省のホームページには、都道府県別の労働局の連絡先が案内されています。
労働局なら、匿名で相談が可能で、本人の了承なしに会社へ情報提供をしたりしません。
誰かに相談すると精神的に安心ができたり、必要に応じて会社への働きかけもサポートしてくれるので、困ったら相談することをおすすめします。
LGBTQ+への理解
セクシャルマイノリティと言われる、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーを総称する「LGBT」という言葉を聞いたことある方は多いと思いますが、近年は「Q+」という表現も加わっています。
性自認と性的指向
出典:「LGBTQとは」(東京レインボープライド2022)より
性自認と性的指向にはさまざまな形があり、「男性」と「女性」だけでは表せないセクシュアリティをもつ方がいることを理解しましょう。
日本国内でみると、LGBTQ+の割合は人口の3%から10%と言われており、10人に1人です。
世界的にみても、日本は特に、カミングアウトできてない方が多いので、些細なことでも男性・女性とカテゴライズすることで傷つけてしまう恐れがあります。
たとえば、アンケートの性別記入欄に男性と女性しか選択肢がなかったり、お手洗いが男性と女性しかなかったり、いま働いている職場に当てはまるという方は多いですよね。
バッジ等で、見かけるレインボーマーク。
LGBTQ+への理解を示す手段として、レインボーマークの表示はアルムナイ(仲間)であることを意味します。
毎年行われている東京レインボープライド(TRP)には、LGBTQ+の方々だけでなく、理解をもった方々も積極的に参加してマーチングが行われています。
こういったイベントから、まずは知って、理解を深めることも大切です。
学校の教育から変えていく!ジェンハラ対処法
ジェンダーハラスメントの大きな原因は、知らず知らずに先入観で物事を話してしまうことです。
幼少期を思い出してみれば、男の子は「くん」女の子は「ちゃん」、ピンクは女の子の色、男の子なら泣かない、など、成長の過程でジェンハラの種を誰しも植え付けられています。
子育てをしている方や、初等教育に従事している方は特に、子どもとのコミュニケーションの取り方を考えるキッカケにしていただけると嬉しいです。
まとめ
ジェンダーハラスメントで、知らず知らずのうちに相手を傷つけているケースは少なくありません。
いま働いている職場のなかにもジェンハラに相当する会話がある可能性は高いです。
男だから、女だから、という理由で業務を押し付けたり、プライベートに入りすぎたりすることは、意識を持たないと気づけません。
ジェンハラをうけた方は、迷わず声をあげ、相談しましょう。
また、会社の人事担当の方など、会社の制度を作る立場のひとは、組織の男女比や人種構成等を考えたうえで、誰もが平等に働きやすい権利のもとで働いているか、という視点を忘れずに行動していきましょう。
個人が、組織が、1つ1つ行動を起こしていくことが、SDGs目標5の「ジェンダー平等を実現する」の第一歩です。
下記記事ではジェンダー平等への取り組みについて紹介しています。
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