マイボトルはSDGsの目標何番?企業事例やエコ割もご紹介
「環境を守るためにマイボトルを持ち運ぼう」という言葉をよく耳にするようになりました。
とはいうものの、「具体的にどんな課題解決につながるのか」「マイボトルユーザーへの支援はどんなものがあるのか」はあまり知られていません。
この記事では、SDGsの視点からマイボトルの必要性や背景にある世界的な社会問題を解説します。
企業事例やマイボトル持参によるエコ割についてもまとめました。
是非最後までお読みください。
マイボトルはSDGsの目標何番?
マイボトルの持参はSDGsに大きく関わっています。
では、マイボトルは目標の何番にあたるのでしょうか。
マイボトルの持参は、SDGsの目標「12.つくる責任つかう責任」「14.海の豊かさを守ろう」への貢献につながります。
SDGsの目標「12.つくる責任つかう責任」との関係
目標12は、持続可能な生産や消費の仕組みの確保を目指したものです。
ターゲットには、以下の内容が明記されています。
12.2 2030 年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減 、再生利用 及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
簡単に説明すると、
- 天然資源の節約
- 環境や人への悪影響が少ない製品生産を通して、廃棄物を減らす
- そもそも廃棄物を出さない、もしくは再利用する
などが目標達成に必要不可欠といえるのです。
つまり、「消費者がマイボトルを持参してごみを減らすこと」、「企業がマイボトルを活用したサービスを提供すること」が、SDGsの目標「12.つくる責任つかう責任」への貢献につながるといえるでしょう。
SDGsの目標「14.海の豊かさを守ろう」との関係
目標14では、持続可能な開発のために海洋・海洋資源を守り、持続可能な形で利用することを目指しています。
ターゲットには、次の内容が示されています。
14.1 2025年までに海洋堆積物や富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染などあらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。
14.2 2020年までに海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。
これらをまとめると、
- プラスチックのような海洋ごみを減らして、海の汚染を防ぐ
- 海や沿岸の生態系に大きな影響が出ないように、持続可能な管理や保護を行う
- 健全で生産的な海の実現のために、海と沿岸の生態系を回復させる取組みを行う
などが、目標達成には欠かせません。
マイボトルを持参することで、プラスチックの使用や廃棄は減少します。
その結果、海の汚染を防ぐため、「14.海の豊かさを守ろう」との深い関係があるといえるのです。
参照:環境省|プラスチックを取り巻く国内外の状況
参照:外務省|我々の世界を変革する:持続可能な開発のための 2030 アジェンダ
マイボトル持参で解決する問題とは?
マイボトルがSDGsへの貢献につながることが明らかになりました。
とはいえ、マイボトル持参で解決する問題とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
結論からお伝えすると、それは「プラスチックの問題」と「海洋汚染の問題」です。
続いては、世界的な現状とマイボトル持参における効果について解説します。
プラスチックの問題
世界で深刻な問題の一つが「プラスチック」。
プラスチックごみは、「焼却による大気汚染」「海洋汚染」「生態系の維持」に大きな影響を与えてしまいます。
1950年以降に生産されたプラスチック使用量は83億トンを超えました。そのうち63億トンが廃棄されています。
また、回収されたプラスチックごみの8割近くは埋め立て、もしくは海などへ捨てられているのです。
とはいえ、「ペットボトルやトレイはリサイクルしているのでは?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
実は、リサイクルされているプラスチックはたったの9%しかありません。
このままのペースでは、2050年までに120億トン以上のプラスチックが自然投棄されると懸念されています。
2018年6月に発表されたUNEPの「シングルユースプラスチック」の報告によると、国民1人あたりのプラスチック容器包装の廃棄量が一番多いのはアメリカです。
そして、日本は2番目に多い国でした。
国内だけで「年間200億本のペットボトル」が使用されているともいわれています。
プラスチックには、食品の長期保存や軽量化などのメリットがあるのが事実です。
マイボトルのような繰り返し使えるアイテムへの代替がこれから求められるのではないでしょうか。
海洋汚染の問題
世界でみると、毎年800万トンのプラスチックごみが海へ流出しています。
2050年には、海中のプラスチックの量が魚を超えるという試算が出されているのです。そうなれば、海洋汚染が進むのは明らかではないでしょうか。
そして、特に海の豊かさを揺るがしているのは「マイクロプラスチック」。
これは私たちの食生活にも大きく影響しています。
マイクロプラスチックとは、プラスチックの破片が紫外線や波などによって細かく砕かれたものです。
魚や貝などの生き物の体内に入り込むことで、さまざまな生き物の体内へ蓄積します。
つまり、魚を食べる人間も、マイクロプラスチックを摂取する可能性が十分に考えられるのです。
使い捨てのものからマイボトルへの使用に変える行動は、海を守るだけではなく私たちの安全な食事を守ることにもつながるといえるでしょう。
マイボトルを応援!企業事例4選
マイボトルを普及するために、企業はどのような取組みをしているのでしょうか。
以下に4つの事例をまとめました。
無印良品
無印良品は「みずから、はじめよう」という合言葉を基に、水プロジェクトを開始しました。
主な取組みは、以下の通りです。
- 持ち運びを可能とする商品提供
- 各店舗に自由に使用できる給水機の設置
- 給水スポットや給水による貢献度がわかるアプリの提供
プラスチックごみへの対応が求められる中、私たちにできることは何かを考えた結果、「毎回ボトルを捨てるのではなく、水を詰め替えることはできそうだ」という結論に至りました。
まずは1日1本でも空のペットボトルを減らすことを目指し、「自分で詰める水」を提案しているのです。
参照:無印良品
象印
象印はSDGsの取組みとして、マイボトルの普及に尽力する「MY BOTTLE IS A BATON」を始めました。
一つ目は、2006年に開始した「給茶スポット」の取組みで、お店やカフェなどの加盟店で注文すると、おいしい飲み物をマイボトルに入れてもらえます。
まちに給茶スポットを増やすことで、マイボトルユーザーを支援しています。
二つ目は、イベントにおける無料給茶スポットの出展です。
「出張!給茶スポット」として、マイボトル持参の来場者へ水分補給を無料でサポートしています。
国内最大級の音楽フェス「FUJI ROCK FESTIVAL」や環境啓発イベント「ロハスフェスタ」でも開催されました。
三つ目は、行政や外部団体との連携です。
プラスチックごみの削減の実現に向けて、大阪府と協定を締結。
G20大阪サミット開催では、会期中のペットボトル使用が原則禁止になったことを受け、「象印のステンレスボトル」が記念品として採用されました。
四つ目は、社内でのペットボトル使用の禁止です。
2019年6月から実施されています。
社内にある自販機からペットボトル飲料をなくす代わりに、給水器を設置しました。
本社や国内の各拠点、海外の自社工場へと輪を広げるとともに、2020年以降はグループ企業にまで活動を拡大していく予定だそうです。
このように外部との連携やイベントを通じて、給水支援やマイボトルの啓蒙活動に努めています。
そして、「まずは自社が手本となろう」という姿勢が評価すべき点ではないでしょうか。
参照:象印マホービン
mymizu
「mymizu」とは、日本初の給水アプリです。
給水を通して、持続可能なライフスタイルがあたりまえな世界の実現を目指し、プラットフォームやコミュニティをつくっています。
mymizuのアプリでは、世界中の20万箇所のカフェやレストラン、公共施設など、無料で給水できるスポットを検索可能です。
さらに、給水したことを記録することで、「削減できたペットボトルの本数」「CO2の排出量」「節約できた金額」を閲覧できます。
さまざまなメディアにも取り上げられていて、その注目の高さが分かります。
参照:mymizu
Refill Japan
Refill(リフィル)とは、日本全国に給水場所を拡大することで、ペットボトルの利用を減らし、環境負荷の軽減や魅力的なまちづくりを推進する活動のプラットフォームです。
公共の水飲み場や冷水機、店舗での無料給水サービスの普及に取り組んでいます。
また、イベントや観光地などにおける仮設給水機の利用も推進していました。
マイボトルユーザーを支援するために、給水マップも開発しました。
外出先でも簡単に最寄りの給水スポットを検索できます。
筆者自身も実際にトライしてみましたが分かりやすいマークが表示されるので、初めてでもすぐに探せました。
参照:Refill Japan
マイボトル持参でエコ割あり!カフェ4選
マイボトルの持参は、環境保護だけではなく節約にもつながります。最近は、マイボトルを持参することで、商品を割引してくれる企業が増えているのです。
エコ割がある身近なカフェを紹介します。外出した際の参考にしてください。
スターバックス「22円値引」
ドリンクを購入時に、マイボトルやマイマグカップを持参すると、資源の節約に協力したお礼として、22円値引されます。
上島珈琲「50円値引」
マイボトルを持参すると、50円値引きされます。
手になじむウェーブ型のオリジナルタンブラーも購入可能です。
カフェ・ド・クリエ「30円値引き」
マイボトル持参でテイクアウトを利用する際、資材軽減のお礼とテイクアウト利用促進のため、30円値引きされます。
フタが付いたマグカップも本サービスの対象となるそうです。
また、クリエのオリジナルタンブラーを購入すると、ドリンク無料チケット一枚がもらえます。
ただ、ご購入店のみの利用となるのでご注意ください。
タリーズ「30円値引き」
ボトルやマグカップをタリーズコーヒーの店舗に持参すると、資源節約への協力のささやかなお礼として全てのドリンクが、30円値引きされます。
各種セットや割引チケットとの併用はできません。
マイボトルで豊かな未来
マイボトルの持参は、「プラスチックの削減」「大気汚染の対策」「海の豊かさを守る」「私たちの食事を守る」ことにつながります。
「マイボトルは環境にやさしい」ということは有名ですが、プラスチックの現状やマイボトルユーザーへの支援はあまり知られていません。
さらに、国内だけでも年間200億本も使用されるペットボトル。
膨大な数ではありますが、一人ひとりの意識と行動を変えることの積み重ねによって、プラスチックの削減が実現するでしょう。
給水スポットやエコ割も上手に活用しながら、マイボトルライフを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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