【厳選9選】サステナブルホテルとは?世界と日本の注目ホテルを紹介
ホテルはどのように選んでいるでしょうか?
価格、ブランド、おもてなしの質、料理の美味しさなど、さまざまだと思います。
実は、世界では「環境や社会に配慮しているかどうか」もホテル選びの重要なポイントになっているのです。
このようなホテルは「サステナブルホテル」といわれ、注目を集めています。
とはいえ、「サステナブルホテルとは?」「どんな取り組みをしているの?」と疑問に思うかもしれません。
この記事ではサステナブルホテルの意味や魅力を解説するとともに、世界と日本にあるサステナブルホテルを9つご紹介します。
これまでにない新しい旅がはじまるかもしれません。
サステナブルホテルとは
サステナブルホテルとは、環境や社会に配慮したホテルです。
最近は「エコホテル」「SDGsホテル」「エシカルホテル」とも呼ばれることも増えました。
ホテル内サービスを通して社会問題を解決できるよう努めています。
- アメニティをリサイクル素材や紙製のものに変更
- 電力を再生可能エネルギーにする
- 食事メニューで地産地消に貢献する
このように、持続可能な社会の実現を目指し、ホテル独自の強みを生かしてあらゆる社会貢献に取り組んでいるのです。
例えば、帝国ホテルは食品ロス削減に努めています。
社内で排出されるゴミを細かく分別し、廃棄物の焼却処理で発生する排熱を回収し、エネルギーとして活用しています。
その結果、生ゴミのリサイクル率が向上し、2020年度に合計で64.5%に到達しました。
またメズム東京は、従業員の制服をユニセックスなデザインにリニューアルしました。
男性や女性で分けることなく、それぞれの個性を尊重した取り組みといえるでしょう。
ここ数年で、消費者や企業の環境意識が高まりました。
それに伴い、「環境に配慮しているかどうか」で宿泊利用や事業提供などを判断する傾向が強まっています。
世界的に「サステナブルホテル」は年々注目を集めているのです
サステナブルホテルが注目される5つの理由
では、どうしてサステナブルホテルが注目されているのでしょうか。
今回は5つの理由を解説します。
プラスチックの使用量を減らせるから
ホテルのアメニティや飲料水などで大量にプラスチックが消費されていることは問題視されています。
世界では、年間800万トン以上のプラスチックごみが海へ流されています。
プラスチックは完全に分解されないため、細かくなったマイクロプラスチックが海に残ったままになってしまうのです。
海の豊かさや海洋生物の命を守るためにはプラスチックの使用削減が欠かせません。
サステナブルホテルはプラスチックではなく紙やリサイクル素材を使用したアメニティや、サービスの提案に努めています。
利用者にもしっかり意図を説明した上で、質のいいサービスを提供しているのです。
環境への負荷を軽くできるから
2つ目は、一般的なホテルに比べて環境負荷が少ないからです。特にホテルは電力使用量が多いため、電力使用の見直しが求められています。
節電だけではなく、再生可能エネルギーの利用に力を入れているのがサステナブルホテルの魅力といえるでしょう。
再生可能エネルギーの購入や自家発電したりなど、それぞれのホテルが工夫しながら二酸化炭素削減に努めているのです。
関連記事:世界・日本の取り組み事例|SDGs目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」
食品ロス削減ができるから
3つ目は、食品ロス削減ができることが高く評価されています。
農林水産省と環境省の報告によると、令和2年度の食品ロス量は522万トン。このうち、ホテル業界も含まれる食品関連事業者から発生する「事業系食品ロス量」は275万トンでした。
人気のホテルビッフェは好きなものをいくらでも食べられるのが魅力ですが、食品ロスが発生することが大きなデメリットでもあります。
これまでのビッフェのあり方を見直すことが欠かせません。
サステナブルホテルでは、食品ロスをなるべく出さない料理提供に努めたり、生ゴミを肥料や飼料へアップサイクルする取り組みを始めたりなど、食品ロス削減に尽力しているのです。
関連記事:フードロスからSDGsを考える!自分たちができる取り組みを知ろう
地域貢献につながるから
4つ目は、地域貢献につながることです。
- 地元の食材を使った料理を提供(地産地消)
- 地域の伝統工芸や文化を伝える
- 周辺の環境保全に努める
このように、地域に根ざした取り組みをしていることもあります。
ホテルを中心にまち全体の経済的発展が見込まれるといえるでしょう。
泊まることで未来の地球を考えるきっかけがもらえる
5つ目は、宿泊者が未来の地球を考えるきっかけが得られることです。
豊かな自然に触れ合ったり、社会貢献につながるサービスを利用したりすることで、いつもより環境や社会に対する意識が高まることが期待できます。
ホテル側が意識の向上を強制するのではなく、社会問題を自分ごとに考える機会を提供していることがサステナブルホテルの価値といえるでしょう。
海外のサステナブルホテル
では、実際にどのようなサステナブルホテルがあるのでしょうか。
まずは、海外からご紹介します。
シンガポール「パークロイヤル・コレクション・ピッカリング」
「パークロイヤル・コレクション・ピッカリング」は、ホテルのサステナビリティが高く評価され、2019年に「ワールド・リーディング・グリーン・シティ・ホテル」の称号を獲得しました。
- 高層庭園約50種類の植物が植えられている
- 内装は都心にいながら自然を感じられるデザインを導入
- ホテルを覆う植物は美しいだけでなく、周辺の気温を下げる役割も担っている
- ソーラーパネルを利用した自家発電
- 雨水や再生水の利用
南国リゾートの空間を演出しながら、環境に配慮した取り組みを実施しています。
公式サイト:https://www.panpacific.com/ja
フィンランド「アークティック・ブルー・リゾート」
大自然のど真ん中に位置する「アークティック・ブルー・リゾート」は2022年にオープンしました。
各客室には2つのテーマがあります。
宿泊者は「ガラス張りの部屋で星空の夜空を眺めながら就寝するか」もしくは「360度の森の景色を存分に楽しむか」を選択できます。
大自然と非日常的な空間に癒されることは間違いなしでしょう。
他にも環境に配慮した活動にも尽力しています。
- 建物には天然素材を使用
- 再生可能エネルギーは敷地内全体の暖房と電気に利用されている
- エリア内の移動は電気自動車
- 四季折々の地元素材を使った料理の提供
- 壮大な自然を満喫できるアクティビティが充実
さらに宿泊料金は、宿泊者のエネルギー消費量、環境活動への参加、持続可能な食事の選択などによって変わる仕組みになっているのです。
これは斬新なアイディアといえるでしょう。
公式サイト:https://www.northernlightsvillage.com/
オーストラリア「AltoHotelonBourke(アルトホテルオンバーク)」
メルボルン中心部に位置する「アルトホテルオンバーク」は、歴史遺産に登録された19世紀の建物を利用しているクラシックでおしゃれなホテルです。
ホテルのサステナビリティが高く評価され、カーボンニュートラルホテルとして認められました。
- 客室は97%の窓ガラスを2重にし、壁面の断熱材を2倍にして冷暖房にかかる電気量をカット
- 雨水タンクを設置して、トイレの排水などに利用
- 100%再生可能エネルギーでつくられた電力を購入し、99%の照明をエコ電球に変更
以上の取り組みのおかげで、一般的なホテルよりも「消費電力は6分の1以下」「水道使用量とゴミ排出量は3分の1以下」という成果を出しています。
日本のサステナブルホテル
次は、知れば一度は泊まってみたくなる日本のサステブルホテルをみていきましょう。
東京「TRUNKHOTEL(トランクホテル)」
渋谷にあるTRUNK HOTELは「環境」「ローカル優先主義」「多様性」「健康」「文化」という5つの分野に注力して、ソーシャライジングを体現していきます。
ソーシャライジングとは、自分らしく、無理せず等身大で、社会的な目的を持って生活するという意味です。
- ベッドやインテリアには間伐材や古材を使用
- シャンプーやボディウォッシュなどは、国産素材かつエコサート認証の100%オーガニック
- ハンガーやトイレのサニタリーボックスには、鉄工場で使われなくなった鉄をリサイクルした素材を使用
- スリッパは、サンダルをつくる際に出るゴムの端切部分を集め、新たなスリッパを生産。デザインも持ち帰って日常でも使いたくなるものにしている
- 渋谷で生まれた渋谷生まれたスナックやビール、コーヒーやコーヒーを提供
渋谷の個性を最大限生かしながら、環境保護に努めています。
公式サイト:https://trunk-hotel.com/
神奈川「川崎キングスカイフロント東急REIホテル」
川崎キングスカイフロント東急REIホテルは、世界初の水素ホテルです。
脱炭素社会を目指して、水素発電を継続的に実施しています。
- 食品廃棄物を原料に発電した電気を使用してレタスを栽培
- 「バイオフードリサイクル」の導入(食品ロスを再生可能エネルギーに変える)
- ホテルから出る食品廃棄物のリサイクル率100%を実現(食品ロス削減)
- 植物由来の原料を使用したアメニティを導入
- ペットボトルではなく各フロアにウォーターサーバーを設置
このように、最先端技術を活用しながら環境負荷の軽減に取り組んでいます。
公式サイト:https://www.tokyuhotels.co.jp/kawasaki-r/facility/82628/index.html
山形県「白鷹源内邸」
山形県にある「白鷹源内邸」は「きもの・リトリートホテル」として伝統文化の魅力を発信しています。
リトリートホテルとは、心身リフレッシュを重視し、いつもの生活から離れた非日常的な空間でゆったりと身体や心を休ませるホテルをあらわします。
- 旅館は、歴史と文化を尊重した改修と設計
- 江戸時代から続く食文化を現代的にアレンジした料理を提供
- 着物の着付けやものづくり体験
山形の文化に触れ合いながら、時間を忘れて、自分らしく滞在できる宿を目指しているそうです。
公式サイト:https://stay.nipponia.or.jp/areas/shirataka
長野「カミツレの宿 八寿恵荘」
「カミツレの宿八寿恵荘」は日本初のBIO HOTELです。
BIO HOTELとは、環境の持続可能性や宿泊者などを重視したホテルを意味します。
厳格な基準を満たさなければ、認証されません。
- 自社農園や地元農家が栽培した無農薬野菜を使った料理
- 動物性食材を使わないヴィーガンメニュー
- 建物の内装に使われる木材にはすべて県内産の無垢材(自然素材)を使用
- オーガニックコットンやリネン、羽毛など自然素材を原料にした寝具を使用
- 洗濯には植物由来の洗剤のみを使用する
- 二酸化炭素の排出を実質的に増やさない木質チップのボイラーを導入
以上のように、自然の力と恵みを最大限に生かしたホテル経営を行っているのです。
公式サイト:https://yasuesou.com/
京都「グットネイチャーホテル」
グッドネイチャーホテル京都は、「体・心・地域・社会・地球にとって健康的で、しあわせであること」をモットーにしています。
- 2022年4月からアメニティの有料販売に切り替え
- 食品ロスを堆肥として活用
- カカオの外皮を捨てずに使い切ったカカオティーの開発
- 自然由来100%のオーガニックコスメをアメニティとして配置
- バイオプラスチック原料のくり返し使用できるカトラリーの導入
- 京都で生まれた農作物や加工食品、工芸品を生産者と連携販売
京都だからできるサステナブルなおもてなしに尽力しているのです。
公式サイト:https://goodnaturehotel.jp/concept/sustainability.php
沖縄「星野リゾート西表島ホテル」
「星野リゾート西表島ホテル」は、世界自然遺産にも登録された西表島にあるリゾートホテルです。
豊かな熱帯雨林や絶滅危惧種であるイリオモテヤマネコを守るために、サステナブルなサービスに努めています。
- ペットボトルを廃止。宿泊者にはマイボトルのレンタルとドリンクバーを提供
- エコバッグのプレゼント
- 西表島の自然について学べる・触れ合えるツアーを開催
- 郷土料理や地元の食材を使った料理の提供
- 室内には分別できるごみ箱の設置
このように、宿泊者と一緒に社会貢献するサービスに力を入れているのです。
筆者自身も実際に宿泊しました。
最高のおもてなしの中で、環境について考える機会をもらえて本当によかったです。
地球へのおもてなしも忘れない!サステナブルホテル
サステナブルホテルは、環境や社会に配慮したホテルです。
現状で起こっている社会問題と向き合い、一丸となって解決に努めていることが分かりました。
宿泊者へのおもてなしに尽力するだけではなく、未来の地球のことも宿泊者と同じように大切に考えているのです。
社会貢献もできるサービス提供の中には、ホテル独自の工夫とアイディアがつまっていました。
リフレッシュできるかどうかはホテル選びで大切ですが、「サステナブルかどうか」も今後の判断基準の主流になるかもしれません。
次の宿泊先をサステナブルホテルにしてみてはいかがでしょうか。
きっと忘れられない体験になるはずです。
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