Allbirds(オールバーズ)の靴が大ヒットした4つの理由!国内での展開も解説
いまや、「エシカルファッション」を当たり前のように選択する時代は、すぐそこまで来ています。
実際に、当メディアのアンケート調査では、「2人にひとりがエシカルファッションアイテムを取り入れている」という調査結果も出ており、その注目度の高さがうかがえます。
関連記事:【市場調査レポート】2人に1人以上がエシカルファッションを取り入れている
本記事では、世界を牽引するサステナブルシューズブランド「Allbirds(オールバーズ)」について、プロダクト開発の背景やヒットの理由を紹介します。
Allbirdsは、2020年に日本に上陸して以降、全国に3店舗を展開し、オンラインショップも運営しています。
国内第1号店となった東京・原宿店の初年度の売上高は、当時、世界の直営店の中で1位を記録しました。
どうしてアメリカ初のシューズブランドがここまで日本でヒットできたのでしょう?。
Allbirds(オールバーズ)とは
まずは、Allbirdsの歴史から振り返っていきましょう。
Allbirdsは2016年、アメリカのサンフランシスコで生まれました。
創業から10年以内にもかかわらず、現在はアメリカを中心に約50店舗を展開しています。
創業者は、元サッカー・ニュージーランド代表のティム・ブラウン氏と、バイオテクノロジーの専門家ジョーイ・ズウィリンジャー氏。
プロのサッカー選手として活躍していたティム・ブラウン氏は、スポンサーからたくさんのシューズを支給されるなかで、多くのシューズがプラスチック製であること、そしてロゴや派手なデザインが多いことに疑問を感じていました。
「シューズを素材から見直して、何か新しいイノベーションができないか」、そんな思いを抱えながら、彼は、新しいシューズの素材として、ニュージーランド産のウール「メリノウール」に着目しました。
ブラウン氏によると、ウールはニュージーランドの主要産業のひとつである一方で、市場では安価な合成繊維に押される傾向があったため、ビジネス面でのイノベーションが必要だと感じていたといいます。
引用:「サスティナブルで、最高の履き心地を提供する『Allbirds(オールバーズ)』のシューズ。」
ブラウン氏がウールを使ったシューズの試作を重ねている最中に出会ったのが、サンフランシスコ在住のバイオテクノロジーの専門家ジョーイ・ズウィリンジャー氏でした。この2人の出会いから、Allbirdsの歴史は始まったのです。
Allbirds(オールバーズ)が人気になった理由
出典:https://www.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/1195467_1501.html
では、Allbirdsのシューズが「サステナブルである」と認知され、多くの人に支持されるようになった理由はいったい何でしょうか。
主に以下の4つの理由が考えられます。
- 天然素材の使用と炭素排出量削減への取り組み
- 消費者にとっての“選びやすさ”
- ナチュラルでおしゃれなデザインと抜群の履き心地
- 30日間返品可能で安心して試せる
それでは、順番に解説していきます。
天然素材の使用と炭素排出量削減への取り組み
Allbirdsが人気になった理由として、まず挙げられるのは、徹底した天然素材の使用と炭素排出量削減への取り組みです。
まず第一に、サステナブル商品をうたう上で、「どれだけ地球環境にやさしい商品であるのか」、という点が消費者にとっての大きな評価ポイントとなります。
Allbirdsでは創業当時から、環境負荷を抑えた商品開発・販売をモットーにしています。
公式サイトでは、独自で作成したサステナビリティレポートを掲載していて、消費者に対して、現状や今後の取り組み、具体的な目標などを数字を使ってわかりやすく伝えています。
一例として、特筆すべきAllbirdsの主な環境への取り組みを以下にまとめました。
- 環境にやさしい天然素材(メリノウール、ユーカリの木、サトウキビなど)を使った靴の製造
- 再生型農業による環境負荷の低いウールの生産
- 素材調達から、製造、輸送、顧客サービスで発生するすべてのエネルギーの脱炭素化
- 包装方法を工夫して資源を効率的に活用
- 独自開発した技術のオープンソース化
- 世界各国のオフセットプロジェクトへの投資
Allbirdsの靴は、再生可能な天然素材が多く使用されています。
例えば、Allbirdsの代表的な素材である「メリノウール」は、主に靴のアッパーやインナー部分に使われています。
通気性・保温性に優れているのも、この素材ならではの特徴です。
一方で、靴のソール部分は、EVAという石油由来の素材が使われることが多く、天然素材の代替品を見つけるのは一筋縄ではいきませんでした。
そこでAllbirdsでは、サトウキビを原料にした新しいミッドソールを独自開発しました。
このソールは、製造過程におけるCO2排出量と、サトウキビが吸収するCO2を比較すると、排出量の方が少ないため、カーボンネガティブを実現しています。
さらに特筆すべき点は、こうして苦労して開発した技術をオープンソース化していることです。
実際に、新しく開発されたソールは、現在100以上のブランドで活用されてるといいます。
引用:「サスティナブルで、最高の履き心地を提供する『Allbirds(オールバーズ)』のシューズ。」
Allbirdsでは、「競合から共創へ」というポリシーを掲げています。
天然素材の良さを多くの人や企業と共有して、地球規模で一体となって、効率的に地球環境の負荷を減らしていきたいという想いが込められているといえるでしょう。
また、天然素材の使用だけでなく、Allbirdsでは、製品全体のライフサイクルを通して、炭素排出量を削減するための取り組みが行われています。
今後の具体的な目標としては、2025年までに、商品の製造過程で使用するエネルギーや、同社が所有・運営する施設での使用エネルギーを100%再生可能エネルギーに替える他、海上輸送の割合を95%以上まで引き上げることを目標に掲げています。
さらに、商品がお客様の手元に届いたあとの消費者エネルギーについても考慮されています。
Allbirdsの靴は、基本的に靴紐やソールをとった状態で洗濯機で洗える仕様になっています。
洗った靴は自然乾燥を推奨。消費者に対して、地球にやさしいお手入れ方法を発信しながら、長く大事に履き続けて欲しいという想いも伝えています。
また商品の包装も、できるだけ最小限の資源で済むように工夫されています。
Allbirdsのシューズケースは紐を通せる穴が開いていて、店頭で購入した際はそこに予備の靴紐を通してもらうことで、“擬似ショッピングバッグ”のような形で持ち帰りやすいように工夫されています。
オンラインショップでは、シューズボックスにそのまま伝票を貼って配送することで、余計な段ボールの消費を抑えています。
消費者にとっての“選びやすさ”
Allbirdsの人気の理由、2つ目は、消費者にとっての“選びやすさ”です。
ここでいう“選びやすさ”とは、消費者がサステナブルな選択をしやすいような工夫のことです。
Allbirdsでは、カーボンフットプリントツールという独自の技術を開発し、すべての商品にカーボンフットプリントの数値を表示しています。
Allbirdsの靴のかかとの部分をよく見てみると、外側に小さなロゴのような形で、カーボンフットプリントの数値が付いています。
このイノベーションによって、消費者はAとBのどちらの商品を買おうか迷ったときに、ひとつの指標として、カーボンフットプリントが小さい方(CO2排出量が小さい方)を選べるようになりました。
これはつまり、私たちが普段レストランやスーパーで、カロリーの数値を基準にして食べ物を選ぶように、靴を選ぶときは、カーボンフットプリントの数値を新たな指標として、商品を選べるということです。
さらに、このカーボンフットプリントの計測方法も、他社で使えるようにオープンソース化されています。
Allbirdsは、商品のカーボンフットプリントの情報をわかりやすく可視化したことで、消費者にとっての新しいモノ選びの価値を創造したといえるでしょう。
ナチュラルでおしゃれなデザインと抜群の履き心地
Allbirdsの人気の理由、3つ目は、デザインと履き心地の良さです。
いくらサステナブルな商品であっても、アパレル業界では「おしゃれ」でないと売れません。
さらに靴に関しては、履き心地や防水性などの機能面が重要になってきます。
創業者のティム・ブラウン氏にとっても、Allbirdsの製品を開発するうえで、この2点は非常に重要なポイントでした。
特にデザインに関しては、プロ時代に提供されたシューズの多くがロゴだらけだったこともあり、「もっとシンプルなデザインで長く使えるスニーカーが欲しい」と思うようになったといいます。
引用:「オールバーズCEOインタビュー “世界一快適な靴”の正体とは」
Allbirdsの靴を見てみると、日常使いできるカジュアルなスニーカーやランニングシューズ、スリッポン、撥水シューズの他、ビジネス使いもできるシックなデザインのシューズもあります。
どのタイプのシューズにも共通していえるのは、ロゴがないナチュラルなデザインということ。
どんな使用シーンでも、自然と足元に馴染むようなデザインです。
国内では特にミニマリスト志向の人や、IT系、起業家の人からの人気が高く、年齢層は20代半ばから30代半ばのお客さんが特に多いといいます。
引用:「サステナブルに必要なのは「愛」と「会話」世界を席巻する新興ブランドを率いるマーケターの素顔に迫る」
「シンプルなデザインと言われると、地味な色しかないの?」と思われるかもしれませんが、実はカラー展開が豊富なのもAllbirdsの魅力のひとつ。
定番カラーのブラック、グレー、ホワイトの他、ブルー、ピンク、カーキ、オレンジ、ブラウン、パープルなど、女性が好きそうなカラフルな色合いもしっかりそろっています。
もちろん、履き心地もお墨付き。
例えば、Allbirdsが最初に開発した「Wool Runners(ウールランナー)」と呼ばれるシリーズでは、文字通り、同社の原点である「羊毛」が使用されているため、軽くて柔らかい、やさしい履き心地が特徴的です。
一般的に、ウール素材は秋冬向きのイメージがあるかもしれませんが、Allbirdsのシューズは、通気性やニオイ防止なども考慮して設計されているため、年間を通して履ける一品となっています。
Allbirdsの靴の値段はシリーズによっても異なりますが、おおよそ1万5,000円~の価格帯です。
大手スポーツブランドのNIKE、adidasなどのスニーカーの価格と比較しても、そこまで高いというわけではありません。
むしろ物によっては、比較的安いともいえます。
また、エシカルファッションアイテムという観点から見ても、平均的な価格帯といえるでしょう。
「履きやすくてお気に入りのシューズを長い間楽しめる」と考えれば、決して高い買い物ではありません。
30日間返品・交換可能で安心して試せる
Allbirdsの人気の理由、4つ目は、安心の返品保証です。
オンラインショップ、実店舗ともに、30日以内の返品保証が付いています。
シューズの場合は、未使用の商品に限り、返品(返金)・交換が可能です。
オンラインショップで購入した商品を実店舗で返品することも可能。
逆に、実店舗で購入した商品をオンラインでの手続きで返品することもできます(大阪店で購入した商品を除く)。
また、返品受付後の交換商品についても、2~3営業日以内に届けるという徹底ぶり。
キャンセル品の到着を待たずに、お客様のもとに交換品を発送するというスピード対応をしています。
「返品・交換がしやすい」という点は、特にECサイトでの販売で大きなメリットになります。
一般的に、消費者にとって、「通販サイトでは試着ができない」というデメリットがあります。
特に「靴」に関しては、他のアパレル品と比べても「ごまかしがきかない」商品のため、通販では買いにくい商品として懸念されることが多いです。
しかし、Allbirdsのように、これだけ手厚い返品・交換保証があれば、消費者にとって、ECサイトでの購入も前向きに検討しやすいといえるでしょう。
Allbirdsの日本国内での展開
出典:https://www.allbirds.jp/pages/marunouchi
続いて、Allbirdsの国内展開についてみていきましょう。
Allbirdsのシューズが買えるお店についても詳しく紹介するので、気になる人は是非最後までチェックしてください。
実店舗は原宿・丸の内・大阪に展開
Allbirdsは、2023年5月現在、日本国内に3店舗(原宿・丸の内・大阪)を展開しています。
国内第1号店は、2020年1月10日に東京・原宿にオープン。冒頭でも触れた通り、初年度の売上高は、世界中の直営店の中で1位を叩き出したといいます。
引用:「日本参入から1年、Allbirdsのデジタル戦略とインフラ構築の現状は?」
各店舗の住所や営業時間などの詳細は、以下の通りです。
住所:東京都千代田区丸の内3丁目4-1 1F 105区 新国際ビル
営業時間:月-土・祝日前日: 11:00-20:00 日・祝日: 10:00-19:00
MAP:https://goo.gl/maps/dQQiE1NWXPQtq7j47
住所:大阪府大阪市北区大深町4-20 グランフロント大阪 南館 4F
営業時間:全日 11:00-21:00
MAP:https://goo.gl/maps/DpsSTTXKmca6Q8Xc9
立地をよく見ると、東京都内では、若者の街「原宿」と、オフィス街として有名な大人の街「丸の内」の両方に出店している点が印象的です。
そこには、若者世代と大人世代の両軸からアプローチをかけて、Allbirdsの商品や環境への取り組みを多くの人に知ってもらうことで、よりよい社会の実現を目指したいという想いがあるといいます。
それぞれの世代の年齢層を想像すると、家族の食卓でAllbirdsの話題が出てくることも珍しくないのかもしれません。
Allbirdsの直営店の内装は、世界で統一されたデザインのコンセプトがありつつも、それぞれの国や地域に根付いたストーリーをところどころに織り交ぜているのが特徴的です。
例えば、原宿店の店内には、原宿駅の旧校舎をイメージした木製のカウンターが置かれています。
またシューズを購入したときにもらえる靴紐の色が店舗によって異なるのも、特筆すべき魅力のひとつです。
原宿店では、鳥居のレッド、桜のピンクの他、葛飾北斎の富嶽三十六景をイメージしたブルーの3色が用意されています。
このように、それぞれの店舗にしかない限定的なベネフィットを提供することで、Allbirdsはファンの心を掴んでいます。
オンラインショップでも購入可能
国内向けのオンラインショップは、原宿の直営店がオープンした3ヶ月後、2020年4月に開設されました。
AllbirdsのECサイトは、中国を除き、世界共通でShopifyを使って構築・運用を行なっています。
引用:「日本参入から1年、Allbirdsのデジタル戦略とインフラ構築の現状は?」
共通したECシステムを使うことで、各国のスタッフが効率的に作業を行える他、全社的な運用という観点から見ても、グローバルな連携がしやすいというメリットがあります。
国内のオンラインショップで対応している支払い方法は、以下の通りです。
②各種モバイル決済サービス(対象サービス:Google Pay、Shopify Pay、Apple Pay)
③コンビニ支払い
④Allbirdsギフトカード
日本ではまだまだ現金払いのニーズが強いですが、コンビニ払いの支払い方法に対応することで、その点をカバーしています。
また、商品のスピード配送のニーズにも対応。
通常、月曜から金曜(祝日を除く)の午後13:59までに注文すると、当日発送されるようになっています。
さらに、どの商品でも基本的に送料無料です。
上述した「30日間返品・交換可能」という点とあわせて考えても、オンラインショップでも購入しやすい環境が整っているといえます。
まとめ
本記事では、サステナブルで快適・おしゃれなシューズを追求する「Allbirds(オールバーズ)」について紹介しました。
本記事で触れた内容以外にも、Allbirdsでは、誰でも参加できる独自のランニングコミュニティーを運営し、その中で集めた参加費用を植林活動としてカーボンオフセットするなど、ファンをうまく巻き込みながら、環境への取り組みを行なっています。
シューズ以外にも、ソックスやトップスなど、徐々に商品の取り扱いの幅を拡大しているAllbirds。
今後の国内での展開に目が離せません。
『GREEN NOTE(グリーンノート)』は環境・社会課題をわかりやすく伝え、もっと身近に、そしてアクションに繋げていくメディアです。SDGs・サステナブル・ESG・エシカルなどについての情報や私たちにできるアクションを発信していきます!