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水質汚染の影響は?その原因と私たちができること

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水質汚染の影響として、日本人が馴染み深いのは高度経済成長期に問題となった「水俣病」や「イタイイタイ病」ではないでしょうか。

当時の病気の蔓延を受けて日本では工場排水の規制や下水処理の整備が進みました。

トイレや洗濯など、普段の生活から出る排水も水質汚染につながり、海の生き物をはじめ人間の健康にも大きな影響をもたらします。

水質汚染の原因と影響を正しく理解して、私たちがいますぐできることに取り組みましょう。

水質汚染の原因と日本での影響

水質汚染の主な原因は工場排水と生活排水です。

毒性のある化学物質が混じった排水が川や湖、沼に流されることで水質が悪化します。

水質が悪化すると、海の生物や人体に悪影響を及ぼします。

下記では、具体的な水質汚染の原因と生物や人体への影響について解説します。

工場排水は危険!魚と人間の生命に影響

工場排水の例として、水俣病の例をみていきましょう。

経済成長期に建てられたチッソ工場ではビニールの原料となるアセトアルデヒドを生産していました。

この原料を作る際に有害物質の「メチル水銀」が発生し、工場排水として海に流れたことで、プランクトンや魚の体内に入り(生物濃縮)、汚染された魚が増えていきました。

プランクトンから小魚へ、小魚から大魚へ、そして人間が、汚染されていると知らずに魚を食べてしまい、病気が蔓延してしまいました。

その後、海の生物や人間を守るために、公害対策基本法水質汚濁防止法が制定され、事業者が強い責任をもって、有害な排水をしないことが求められています。

関連記事:海洋汚染が人間や魚に及ぼす影響とは?恵みの海を取り戻すための努力を!

生活排水の規制はゆるい?

私たちが生活する上で、トイレ、台所、洗濯機、お風呂などから排水しています。

生活排水の約40%が、台所からでる排水です。

特に、使用済みの天ぷら油やマヨネーズは海の汚れを表すBOD値が高く、水質汚染の影響が大きいです。

また、台所やトイレから排水される水には、窒素やリンが含まれており、水中に流れ込むと、富栄養化を招きます。

富栄養化とは、海水や川の水に含まれる栄養分が自然の状態より増えすぎてしまうことをいいます。

富栄養化で植物プランクトンが大量発生すると、アオコにより魚をはじめとする海の生物の酸欠を招いてしまいます。

基本的には、浄化槽や下水道など処理施設を経由して生活排水は浄化されていますが、施設が整っていない場合は家庭から出る水が水環境を悪化させてしまいます。

生活排水には工場排水のように特別な法律で規制がないものの、私たち一人ひとりの意識によって、生活排水を減らす努力が必要です。

ポイント
農林水産省が公表している「令和2年度末の汚水処理人口普及状況について」によると、汚水処理の普及率は9割で、特に人口の少ない市町村を中心に、全国で約990万人が汚水処理にアクセスできていません。下水処理技術には莫大なコストがかかるため、日本でも下水処理施設が8割程度しか整備されていないのが現実です。

参照:「令和2年度末の汚水処理人口普及状況について」農林水産省より

畜産のし尿や化学肥料

家畜を育てる過程で出るし尿などの排泄物や用いる化学肥料も、窒素やリンを海や川、湖、沼に流すキッカケとなり、富栄養化を招きます。

家畜の排せつ物を適切に処理しないと、地下水を汚してしまったり、原虫を発生させてしまったりして水質環境を悪くします。

一方でバイオマス資源として肥料活用できるため、適切に使えば水質汚染の問題解決になるだけでなく、大切な資源として循環することができます。

地球温暖化で魚が腐敗する

温暖化の影響で、海温も上昇します。水温上昇は植物プランクトンの増殖を招き、海中が酸欠状態になることで海の生物の生命に関わります。

2020年には函館湾に迷い込んだイワシが大量に亡くなり、腐敗していくことで水質が悪化しました。

気候変動と水質汚染は密接な関係について解説します。

水質汚染の世界的な影響は?

上記では日本で起きている水質汚染の原因と影響を紹介しました。

現在、世界で起きている水質汚染による影響も紹介します。

5人に1人が命を落とす理由は水質汚染?

ユニセフの報告によると、アフリカ諸国では5人に1人が、5歳になる前に亡くなっており、その理由の10%〜20%は汚染された水による下痢です。

開発途上国に井戸を掘る海外ボランティアを耳にしたことありませんか。

特に、干ばつ地だと水へのアクセスが物理的に遠いため、井戸を通すのは良いことですが、人が掘る井戸を適切に管理しないと、砂や家畜の糞尿などありとあらゆるものが入り込み、細菌を生むので要注意です。

安全な飲み水でなくても、生きるためにやむを得ず汚染された水をのみ、コレラや赤痢にかかって命を落とす人が年間で50万人もいます。

関連記事:世界の水・トイレ事情は?SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」

イルカやクジラの絶滅危機

電子機器に使用されている有害物質が海に流れ込み、イルカやクジラの体内に入って生命の危機に瀕しています。

繁殖能力や免疫機能に特に影響があり、水質汚染の影響によって絶滅危機となっています。

1920年代から電気機器で使用されていた有機塩素化合物のひとつにポリ塩化ビフェニル(PCB)があります。

このPCBは1981年にイギリスで、1987年からEUの他の地域でも禁止されました。

しかし、現在でも有機塩素化合物をはじめ、世界中の工場から排出される汚染物質に苦しめられる生物がいます。

地球から美しい生物が減っている現実は何とももどかしく、阻止したい問題です。

関連記事:SDGs14「海の豊かさを守ろう」|企業や個人の海を守るための取り組み

水質汚染の対策と私たちができること

工場排水や生活排水を中心に、畜産による排水や地球温暖化など、水質汚染を招く原因を紹介しました。

私たちができることとして、海や川を汚れから守るために日々の生活排水を見直しましょう。

  • 残った油は出来るだけ捨てずに活用。流す場合は、新聞紙等で拭き取ってから流す
  • お米の研ぎ汁をお花の水やりに活用する
  • 三角コーナーを活用して、細かい切りくず等をながさない
  • お風呂に入る時にシャンプーやリンスを適量使う
  • お風呂の残り湯で洗濯を回す

水質汚染は、私たちも日常生活を通して気がつかずに加担してしまっている環境・社会問題です。

キッチンやお風呂、トイレなど、身近な水回りから気を配り、できるだけ海や川に流れる水を減らすことが第一歩です。

ちりが積もれば山となりますので、一人ひとりが、生き物や私たち自身に対して思いやりをもって行動していくことが大切です。

まとめ

水質汚染の問題について世界を見れば、いまも開発途上国の人たちをはじめ多くの方が安全な水へアクセスできず汚染された水によって苦しめられています。

私たちが日頃何気なく流している生活排水にも有害物質が含まれており、海や川の生物を苦しめていることも事実です。

海や川の生物が苦しむと、それを食べる私たち人間にも影響があります。

また、国連教育科学文化機関(UNESCO)によると、2030年には世界人口の47%が水不足に陥り、2人に1人が、安全な水へアクセスできない水ストレスの状態になると予測されています。

限られた水を汚さないために、日本はじめ世界的に下水処理等の技術を普及させていくと同時に、キッチンやお風呂など身近な生活排水から私たちができることをして、水の汚れを減らす努力が大切です。

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