グリーンテック

【イベントレポート】ONE JAPAN CONFERENCE 2022・大企業挑戦者支援プログラム『CHANGE』決勝ピッチを取材

大企業の若手・中堅社員を中心とした約50の企業内有志団体が集う実践コミュニティ「ONE JAPAN」。

「挑戦の文化をつくる」をミッションに掲げ、VALUE(価値づくり)、PEOPLE(仲間づくり)、CULTURE(社会的空気づくり)の3軸で活動を行っています。

毎年秋に開催する大型イベント「ONE JAPAN CONFERENCE」。

今回は2022年10月23日(日)に秋葉原にて行われた「ONE JAPAN CONFERENCE 2022」の「大企業挑戦者支援プログラム『CHANGE』決勝ピッチ」をレポートします。

【GREEN NOTEは「ONE JAPAN CONFERENCE 2022」のメディアパートナーに認定されました。】

ONE JAPAN CONFERENCEとは?

「大企業から世の中を変革する」をテーマに、企業内で新規事業や既存事業変革に挑む“CHANGER”(変革者)を創出するプログラムです。

約3ヶ月の期間を経て「支え合う仲間と、勝ち残るための武器」を提供します。

ONE JAPANから、参加者の所属する大企業から「本気で自社を、社会を変えていく人財(CHANGER)」を生み出し、変革していくためのエコシステムの構築を目指します。

公式サイト:https://onejapan.jp/ojc2022/index.html

イベント開催概要

ONE JAPAN CONFERENCE 2022は下記日程と場所にて行われました。

■日時
10月23日(日)10時~20時00分
(受付: 10時~ セッション開始: 10時30分 懇親会: 19時~ 終了: 20時 )
■開催場所
リアル参加:秋葉原UDX・アキバスクエア
〒101-0021 東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDX

今年のテーマは、昨年に引き続き「変革(Transformation)」

自己変革、企業変革、社会変革に向けて、各界のトップランナーや経営陣等の豪華ゲストに加えて、各企業の最前線で挑戦するONE JAPANメンバーなどの実践者が多数登壇し、リアル会場 / オンライン会場にて「VALUE」「PEOPLE」「CULTURE」の切り口で12のセッションを展開します。

【全体セッション】「大企業挑戦者支援プログラム『CHANGE』決勝ピッチ」

大企業挑戦者支援プログラム『CHANGE』決勝ピッチのプレゼンター5名のピッチ内容をご紹介します。

實廣亜希子 / 株式会社ファンケル 総合研究所 化粧品研究所 洗浄剤開発グループ

トップバッターは株式会社ファンケルの實廣亜希子さん。

90%以上の飼い犬が、歯周病に罹患していると言われています。

でもその多くは症状が見えないため、飼い主は気づいてあげることが出来ません。

歯周病を放っておくと、深刻な病気を招くリスクがあります。

實廣さんには、ペットを歯周病でなくし辛い思いを抱えた友人がいました。

重度の歯周病になって、手遅れになってしまう前に、未然に防ぐために考えられたのが、家族犬の歯周病早期発見ガム ~PePreガム~です。

ガムを噛むと、歯周病菌と反応して、白からピンクに色が変わり、歯周病リスクを可視化できるのが特徴です。

リスクチェックに加えて、予防も出来るという、世界初のペット用ガムです。

ペットは、歯をケアすることで20%寿命が延びるといわれています。

歯周病に苦しむ犬と、飼い主を1人でも減らしたいという思いで、事業化に向けて走り始めました。

國友孝憲 / 株式会社PFU RAPTOR事業開発部

株式会社PFUの國友孝憲さんは、廃棄物処理施設で頻発する火災の撲滅に挑みます。

全国の廃棄物処理施設で起きる火災、原因の97%がリチウムイオンバッテリーであると言われています。

分別作業は行われていますが、人の目の認知能力には限界があり、バッテリーの混入を100%防ぐことはできません。

この業界を間近で見てきて、もっと安全で働きやすい職場に変えていきたいという思いで、國友さんが考えられたのが、混入バッテリー検知システム「BattDetector(仮)」です。

X線、金属探知機、AIによる画像認識で、バッテリーの混入率をゼロにするというもので、業界経営者へのヒアリングでは8割が「導入したい」と回答しました。

2024年のローンチを目指し、事業化に奮闘中です。

高橋知世 / キリンビバレッジ株式会社 近畿圏統括本部 近畿圏支社 自動販売機営業部 課長

続いては、キリンビバレッジ株式会社の高橋知世さん。

皆さんは「胃ろう」をご存知でしょうか?

病気などで、口から食事がとれなくなったときに、衰弱しないよう口以外から栄養を補給する方法のひとつです。

現在、胃ろうのお子さんは、日本に約1万人いると言われていますが、患者数の少なさから、子供向けに適したペースト食はまだありません。

そのため、各家族では、食事をブレンダーでペースト化していますが、親の負担が大きいのが現状です。

そこで「作る手間なし」「あげる手間最小限」「場所を問わずどこでもあげらえるもの」として考えられたのが、胃ろうのこども向けのペースト食です。

高橋さんご自身も胃ろうのお子さんがおり、キリングループが持つ食の技術を使って、同じ問題に悩む世界中の親子に笑顔を届けたい、という思いで事業に挑戦中です。

佐藤佳子 / パナソニックコネクト株式会社 IT・デジタル推進本部

続いては、パナソニックコネクト株式会社の佐藤佳子さん

ウィンタースポーツが大好きな佐藤さんですが、過去に4度の靱帯断裂を経験しました。

リハビリを経て、今も現役を継続できているのは、動画撮影による練習のおかげでした。

実際、95%のアスリートや指導者が、スポーツの上達に動画が必要と回答しており、動画撮影による練習の有効性は明らかです。

しかし、一般のプレーヤーが練習に動画を活用するには、機器への投資、設置、分析など、様々なハードルがあります。

そこで佐藤さんが提案するのが、個人スポーツの上達を加速する自動動画撮影サービス「Sport Visual Aid」です。

スポーツ施設に個人認証できるカメラを複数設置し、多角的な動作確認と、骨格解析によるフォーム比較などで上達をサポートする特長があります。

人生100年時代に、生涯スポーツで挑戦できる世界を目指しています。

山本飛翔 / 聖マリアンナ医科大学病院薬剤部・主任

最後は、聖マリアンナ医科大学病院薬剤部の山本飛翔さんです。

薬は、病気を治す効果がある一方、誤った投与をすると毒にもなります。

間違った薬剤投与が起こる原因は様々ですが、そのなかでも処方オーダミスが医師のインシデント報告の中で多く認められています。

医療業務の多くがマニュアルであるため、人の意思決定が数多く介入します。

そのため、判断ミスを防ぎ切ることは困難です。

処方におけるヒューマンエラーを防ぎ、薬による健康被害を無くしたいという思いで提案されたのが、患者検査データを用いた投与量支援アプリ「ベイファーマシスト」です。

大学病院から展開をスタートし、将来的には全病院での薬物治療の最適化を目指していますが、そのためには企業を巻き込んだイノベーションの創出が不可欠です。

「病院だけでは実現できない、大企業と一緒に課題解決したい」と、力強い言葉で、実現への熱い思いが語られていました。

[審査員]
麻生要一 / 株式会社アルファドライブ 代表取締役社長兼CEO
石井芳明 / 経済産業省 新規事業創造推進室長
斎藤祐馬 / デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社 代表取締役社長
笹原優子 / 株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ 代表取締役社長
中山亮太郎 / 株式会社マクアケ 代表取締役社長
藤本あゆみ / Plug and Play Japan株式会社 執行役員 CMO / 一般社団法人スタートアップエコシステム協会 代表理事
濱本隆太(モデレーター)/ パナソニックホールディングス株式会社 プラットフォーム本部 主務 / CHANGEプログラムリード

まとめ

見事優勝されたのは、「医療的ケア児と家族のためのこども向けペースト食」と「廃棄物処理施設の発火防止 混入バッテリー検知システム」の2テーマでした。

5組とも熱意のこもったプレゼンテーションで、審査委員からも、実現への強い期待が寄せられました。

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