地球にやさしい生ごみ処理「コンポスト」とは?メリット・デメリットも紹介
生ごみを処理する方法の一つに、コンポストがあります。
コンポストは「堆肥化する」や「堆肥」の意味です。
微生物やミミズなどの働きを利用して生ごみを堆肥にします。
家庭でできる地球にやさしい方法として実践が増えており、初心者でも始めやすいキットなども増えています。
今回は、コンポストとは何かを、メリットやデメリットとともに紹介しましょう。
初心者におすすめのコンポスト方法も合わせて解説します。
コンポストが気になっている方、これからコンポストの活用を始めようと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
コンポストとは?
「コンポスト」という名前は、英語の「compost」そのままで、日本語では「堆肥」や「堆肥化」と訳されます。
堆肥を作るための容器は「コンポスター(composter)」です。
日本では、昔から生ごみやふん尿を堆肥にして、農作物の肥料として使う習慣がありました。
しかし、近代化や都市化に伴い、化学肥料や農薬の使用が増加して、堆肥化する習慣はなくなっていきました。
そして近年、サステナビリティや地球に配慮した取り組みとしてコンポストの名前で、再び注目が集まっています。
市町村によっては、コンポストの設置や設備導入の際に、補助金が出る場合もあります。
企業だけでなく、自治体もコンポストの普及に力を入れているのです。
コンポストの4つの種類
コンポストには、大きく分けて4つの種類があります。
- 段ボールコンポスト
- 設置型コンポスト
- ミミズコンポスト
- バッグ型コンポスト
種類によってかかる費用や設置場所、分解方法が異なります。
段ボールコンポスト
段ボールコンポストは、段ボールをコンポスターとして使用するコンポストです。
微生物の分解を利用します。
厚くて丈夫な段ボールに腐葉土や米ぬかなどの資材を入れて、生ごみを投入します。
投入したらよくかき混ぜ、3週間ほど熟成させて堆肥化。
段ボールは軒下やベランダなど風通しが良い場所に置き、雨にぬれないようにします。
段ボールが劣化するため、2〜6カ月ごとに交換する必要があります。
材料費が安く、容器を購入する必要がないため、気軽に始められるでしょう。
参考:段ボールコンポスト:循環生活研究所ショッピング「ダンボールコンポストセット+(プラス)」
設置型コンポスト
設置型コンポストは、庭や畑に容器を設置するコンポストです。
微生物の力を使って分解します。
底がないコンポスターを庭や畑に埋めます。
上部にはフタが付いており、中に土を入れたら生ごみを投入。
落ち葉や雑草なども投入可能です。
コンポスターがいっぱいになったら、投入をやめて、定期的に中身をかき混ぜるようにしましょう。
2〜3カ月熟成させて堆肥の完成です。
フタが付いているため、雨にぬれたり虫が入ったりする心配がありません。
庭掃除で出たごみもコンポストに入れられるので、ごみを処分する手間が省けます。
お庭や畑のある方におすすめのコンポストです。
参考:設置型コンポスト:アイリスオーヤマ「エココンポスト IC-130 ブラック」
バッグ型コンポスト
バッグに基材を入れて、生ごみを投入していきます。
室内に置いておけて、アパートやマンション住まいの人でもコンポストの活用が楽しめます。
バッグ型コンポストは自作も可能です。
しかし、初めての方や材料をそろえるのが面倒な方は、LFCコンポストセットがおすすめです。
バッグにはチャックが付いており、水や虫の侵入を防ぎます。
生ごみの投入後は、定期的にかき混ぜ、風通しの良い場所で保管しましょう。
バッグのサイズにより、投入できる生ごみの量は異なります。
他のコンポストに比べてサイズが小さい場合が多いので、毎日大量の生ごみが出る家庭にはバッグ型コンポストは向かないでしょう。
参考:LFCコンポストセット 生ごみから美味しい野菜づくり!コンポストをはじめよう
ミミズコンポスト
ミミズコンポストは、ミミズの力で生ごみを堆肥化するコンポストです。
コンポスターにミミズと資材を入れて、生ごみを投入します。
ミミズが生ごみを食べ、そのふんを微生物が分解することで堆肥になる仕組みです。
ヨーロッパやオーストラリアでは、広く普及しているコンポストです。
ミミズが基材の中を動き回るので、毎日かき混ぜる必要がありません。
また、ミミズコンポストを活用していると、ミミズの尿がたまりますが、液肥として利用できます。
ただし、ミミズコンポストに利用できるのはシマミミズという種類のミミズです。
日本の庭や畑にいるのはドバミミズという種類なので、注意が必要です。
シマミミズは、ネットや釣り具店で購入できます。
コンポストのメリット・デメリット
今、注目が高まっているコンポストですが、メリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
メリット | デメリット |
---|---|
・生ごみを捨てなくて済む ・環境にやさしい ・良質な堆肥が無料で手に入る |
・堆肥になるまで時間がかかる ・かき混ぜるなど手間がかかる ・管理が不適切だと虫や臭いにおいが発生する |
コンポストのメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
コンポストの活用を始める3つのメリット
コンポストには、以下のメリットがあります。
- 生ごみを捨てなくて済む
- 環境にやさしい
- 良質な堆肥が無料で手に入る
家庭から出るごみのうち、3割は生ごみといわれています。
コンポストを活用すれば、全体のごみの量も減ることに。
ごみ出しの回数や消費するごみ袋も減らすことが可能です。
コンポストは、環境にもやさしいといわれています。
水分を多く含んだ生ごみは、他の可燃ごみと比較して焼却処分するのに多くのエネルギーを使用します。
使用する燃料が増えればその分、資源を使うことになり、二酸化炭素(CO2)の発生量も増えるでしょう。
食品ロスとなってしまった食材を、堆肥化することで有効活用できます。
食品ロスの量を減らしつつ、コンポストを活用することで環境負荷が減らせるでしょう。
食品ロス(フードロス)は、以下の記事で詳しく解説しています。
フードロスからSDGsを考える!自分たちができる取り組みを知ろう
【日本】深刻なフードロスの現状とは?削減に必要な3つの取り組み
お得に楽しくフードロス問題を削減できる「SUKUERU」のサービスを難波遥が利用してみた!
コンポストによる3つのデメリット
コンポストには、デメリットもあります。
- 堆肥になるまで時間がかかる
- かき混ぜるなど手間がかかる
- 管理が不適切だと虫や臭いにおいが発生する
生ごみをコンポストに入れたらすぐに堆肥となるわけではありません。
多くのコンポストでは、生ごみを投入してから3週間〜1カ月は熟成させる必要があります。
毎日や2〜3日に1回、かき混ぜます。
かき混ぜるのは、微生物の働きに空気が必要だからです。
かき混ぜることは、水分の偏りを減らす効果もあります。
全体をしっかりかき混ぜることで、微生物の働きが活発になります。
段ボールコンポストは隙間ができやすく、適切に管理しないと虫が発生する場合があります。
生ごみに含まれる水分が多すぎると、腐敗の原因に。
悪臭が発生するだけでなく、臭いにつられて虫が集まってしまいます。
メリットだけを見るのではなく、デメリットも理解した上でコンポストの活用を始めることが大切です。
初心者も安心!コンポストの基本的なやり方
初めてコンポストを活用する人は、不安や疑問点があるでしょう。
しかし、ポイントを押さえておけば、安心して続けられるでしょう。
- コンポストに入れては入れていいもの・入れてはいけないもの
- 虫や臭いにおいが発生した場合の対処法
- できた堆肥の使い道
注意点と合わせて説明します。
コンポストに入れては入れていいもの・入れてはいけないもの
コンポストには入れていいもの、入れてはいけないものがあります。
入れていいもの | 入れてはいけないもの | |
---|---|---|
分解が早いもの | 分解に時間がかかるもの | |
・ご飯、パン、麺類 ・野菜、きのこ類 ・米ぬか ・お茶がら、コーヒーのかす |
・かんきつ類の皮 ・玉ねぎの皮 ・野菜・果物のかたい芯 ・動物や魚の骨 ・卵の殻 |
・野菜や果物の種 ・添加物入りのもの ・プラスチック類 ・たばこ |
水分量が多くやわらかいものは、分解が早く進みます。
プラスチックやたばこなど人間が食べられないもの、化学物質や添加物が使用されているものは、コンポストに入れないようにしましょう。
コンポストの種類や生ごみの量によって、分解にかかる時間は異なります。
生ごみは1日300〜500gまでを目安に投入しましょう。水気は軽く切るようにします。
虫や臭いにおいが発生した場合の対処法
適切な管理をしないと、コンポストから臭いにおいや虫が発生するので注意しましょう。
もし腐敗や酸っぱい臭いがするようなら、生ごみの投入をやめて全体をよく混ぜます。
その後、通気性の良いところに置いておくと落ち着く場合がほとんどです。
虫が発生した場合は、中身をビニール袋などに移し、密封して天日干しをしましょう。
2〜3日ほどで虫は死滅します。
殺虫剤をかけると虫は死にますが、堆肥としては使用できなくなります。
虫は土の中から発生するのではなく、コンポスターの隙間から入り込んで卵を産みつけます。
日頃から防虫ネットを使用したり、フタを開けっぱなしにしたりしないように注意してください。
できた堆肥の使い道
コンポストでできた堆肥は、栄養満点の肥料になります。
ガーデニングや家庭菜園などに利用しましょう。
堆肥を混ぜた土はふかふかになり、排水性や通気性が高くなります。
堆肥を使って無農薬で野菜を育てれば、葉っぱや皮も安心して食べられます。
家でガーデニングや家庭菜園をしない方は、お友達やご近所さんにお裾分けしても良いかもしれません。
コンポストだけじゃない!生ごみを処理する方法は他にある?
コンポストは多くのメリットがありますが、手間がかかるのも事実です。
より手軽に生ごみを処理したいと感じる方には、以下の方法があります。
- 生ごみを乾燥させる
- 家庭用生ごみ処理機を使う
生ごみを乾燥させる
堆肥にするのではなく、生ごみの臭いや量を抑えたい場合は、乾燥させるだけで十分です。
生ごみを乾燥させるには、以下の方法があります。
- ザルに入れて通気性の良いところに置いておく
- 新聞紙に広げて天日干しをする
- 干物用のネットに入れて風通しの良いところに置いておく
- 野菜の茎や芯などを冷蔵庫内に入れて乾燥させる
三角コーナーに生ごみを一晩放置するだけで、水分量を減らすことは可能です。
ただし、放置しすぎると腐敗や臭いの原因になるので注意しましょう。
家庭用生ごみ処理機を使う
家庭用生ごみ処理機は、微生物や熱風でごみを分解します。
屋外に置くタイプからキッチンに置くコンパクトタイプまで、さまざまな種類があります。
微生物で処理する生ごみ処理機は、生ごみと一緒にバイオチップなどを混ぜて使用しましょう。
少ない電力で、音が静かです。
所要時間は5時間〜1日程度のものが多いでしょう。
熱風で処理するものは、生ごみを熱風の力で乾燥させて分解します。
微生物での処理に比べると音が大きく、より電気を使いますが、処理時間は数時間程度です。
家庭用生ごみ処理機なら、パナソニックの「家庭用生ごみ処理機 MS-N53XD」がおすすめ。
有機質肥料が作れるモードがあるので、コンポストを活用するより早く良質な肥料が作れます!
まとめ
少しの手間で、良質な堆肥が作れるコンポスト。
生ごみの量が減るだけでなく、環境にもやさしいなどさまざまなメリットがあります。
コンポスターの準備やかき混ぜなどが必要ですが、習慣化してしまえば難しくありません。
日々出る生ごみを活用して、循環型社会を目指しませんか?
コンポストにはさまざまな方法があります。
ライフスタイルに合わせて、選ぶようにしましょう。
気になった方は、無理のない範囲で始めてみてください。
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