ヴィーガンとは?SDGsへの貢献、ベジタリアンとの違いも解説
近年日本でも耳にするようになってきた「ヴィーガン」。
最近ではカフェやレストランなどの食事時に聞くことが増えてきました。
海外情報誌でも目にするようになったヴィーガン。
この記事ではヴィーガンとベジタリアンの違いやヴィーガンと取り入れることで変わる地球環境などSDGsへの貢献など、詳しく解説します。
ヴィーガンについて理解を深めたい方は、ぜひ最後まで読み進めてください。
ヴィーガンとは?
ヴィーガン (vegan)とは、動物性の食品や動物由来の製品を使用しないライフスタイルを実践する人々のことを指します。
1944年英国ヴィーガン協会の共同設立者であるドナルド・ワトソン氏が造った言葉として知られています。
そして英国に位置する「The Vegan Society」(ヴィーガン協会)でヴィーガニズムという概念があります。
ヴィーガニズムとは、「衣食他全ての目的において実践不可能ではない限りいかなる方法による動物からの搾取及び動物への残酷な行為の排斥に努める哲学と生き方」という内容です。
ヴィーガンの概念がより明確化されたきっかけは1951年、英国のThe Vegan Society(ヴィーガン協会)初代副会長を務めたレスリー・クロス氏によるエッセイでのこと。
ヴィーガニズムとは?という概念を「人間は動物の搾取なしで生きるべきであるとする主義」に加えて「個人的な状況が許す限りこの理想に近い生活をすることに努めている人」と具体的な言葉で打ち出しています。
ヴィーガンとは?のクエスチョンに具体的に答えるとき欠かせない食生活。
ヴィーガンの食生活、嗜好を具体的に見ていくと魚肉、卵、乳製品の動物性食品を摂取しないことに徹底しています。
お肉、魚類の禁食にはあらゆる動物の種類のお肉のことを指しています。
卵や乳製品という副産物さえも食べることはないようです。
そして、動物性といえば毛皮がありますよね。
ウール、毛、皮、という高級嗜好、高品質の素材にもなる物は使用しないなどの選択が行われているようです。
このようにヴィーガンとして定義されている食性の特徴はベジタリアンよりもさらに動物性食品の摂取を控えるよう徹底しています。
「衣食他全ての目的において実践不可能ではない限り、いかなる方法による動物からの搾取及び動物への残酷な行為の排斥に努める哲学と生き方」と定義される程ですから、牛や鶏の副産物であるミルク、卵、ヨーグルト製品さえも禁食となるのはやむおえないのでしょう。
ヴィーガンの定義を強めたと語られているVegan Society(ヴィーガン協会)の初代副会長レスリー・クロス氏は頑なヴィーガンだったそうです。
ヴィーガンになる理由
様々な理由からヴィーガン生活を取り入れている方がいます。
動物を摂取したくない
動物性食品や動物性の副産物を禁じていたヴィーガンの代表だったトム・リーガン(Tom Regan)氏。彼はそもそも動物の権利運動家として活動しています。
彼の著作物である「The Case for Animal Rights(英語版)」は多くのヴィーガンの学習教材として今日まで使用されているそうです。
動物搾取虐待を敗訴しようという考えが根本に根強くあるようです。
動物性食品を摂りたくないヴィーガンのなかでも微妙な食の差でいくつかタイプに分類されています。
まず、「肉食を全く口にしないことに決めているというヴィーガンそのもの」、そして「肉食を心持ちだけ控えるという食性のフレキシタリアン」最後は「肉は口にせず、乳製品と卵だけは食べているペスコタリアン」に区別されます。
個人的な状況が許す限り控えるという概念通り「肉食を心持ちだけ控えるという食性のフレキシタリアン」が最も中道的なタイプです。
環境問題の対策
ヴィーガンの考えとして環境問題への課題も山積み。
食は環境問題とのつながりが深いということは誰でも気がつきますが、専門家による専門的な研究結果として次のことがわかっています。
「国を問わず全世界の人口全体の食性がヴィーガンに徹することで、食品業界、食品、食品を包装する物あらゆる物から排出されていると言われる温室効果ガスの排出量が減少する」発表された文面とは一時一句同じではありませんが、食品業界が環境へもたらす悪影響は多大であること、動物性食品の摂取を人口の全てがやめると環境破壊が弱まるという意味です。
日本でも魚肉を販売、購入する際に使われているトレーの再利用やゴミの捨て方はすでに有名です。
魚肉を食べている限りそれだけでは足りないということで、こうした包装材による環境問題への関心からヴィーガンを選ぶ人もいるようです。
健康上の理由
日本においても過剰な肉食がもたらす健康上のリスクはとてもよく知られていますよね。
たとえば、朝食のハムエッグ、サンドウィッチに使うベーコン。
こうした加工肉を頻繁に口にすることで、ガンなどにかかりやすくなると言われています。
さらに、研究で判明している肉食の体への悪影響では、虚血性心疾患、脳卒中、2型糖尿病も含まれると研究結果が発表されました。
ヴィーガンとして魚肉を口にしなければ、こうした病気へのリスクが減ることもわかっているようです。
ヴィーガンにも3種のタイプがありますから、完全に魚肉を口にしないヴィーガンにならずとも、できる限りにおいて、個人的な状況が許す限り控えるという概念通り「肉食を心持ちだけ控えるという食性のフレキシタリアン」健康上の理由から「副産物である卵とチーズ、ヨーグルト類のみ口にする」を選ぶヴィーガンも。
もっというと、肉食をやめると人口の810万人が死亡せずに済む、最低でも全人口で年間7,000億の損失のリスクを回避できるという研究結果もあるそうです。
ヴィーガンの食生活とは
食生活を語らずして、ヴィーガンを知ったとはいえません。
ヴィーガンの定義からは三つの食生活に区分することができます。
- ヴィーガン:牛や豚、魚、乳製品など動物製の食べ物を一切口にしない
- フレキシタリアン:都合上では魚や肉もたべている
- ペスカタリアン:ミルクやヨーグルト、卵料理は食べる
ヴィーガンレストラン、ヴィーガンカフェと呼ばれる飲食店も近年知られていますが、ヴィーガンカフェ、ヴィーガンレストランのメニューとしては植物性食品を材料にしたメニューになっています。
ヴィーガン用のハンバーガーもあります。
しかし、タンパク質などの栄養をとるのに魚やお肉類の摂取が必要なため、動物製の食事を一切口にしなくなることで体調が良くない人も少なくありません。
個々人の体質や嗜好により程度を選んでいるヴィーガンの食事、思うよりも極端ではないようです。
ベジタリアンという食嗜好の方とも少し似ている部分がありますね。
ベジタリアンの中にも菜食とバランスを取りながら、少量の肉製品を摂取するセミベジタリアンが存在します。
はじめから完璧なヴィーガンを目指さず、セミベジタリアンのような食生活から始めてみるのもいいでしょう。
ヴィーガンとベジタリアンの違い
ヴィーガンとベジタリアンの違いがわからない人も少なくありません。
ベジタリアンとは「そのまま野菜を主食に食べて生きている人」のことで、ベジタリアンの起源は古く1839年にまで遡るようです。
当時ではお肉、動物性食品の副産物の卵乳製品、卵も絶対に食べないという食性をベジタリアンと呼んでいました。
食料品不足に悩まされそうな時代に動物性食品を口にしないなど道徳的にも、ベジタリアンの定義もヴィーガンと類似しています。
ベジタリアンとは、どのような用途でも動物を利用しない完全な菜食主義者に該当するようです。
ヴィーガンもベジタリアンも徹底している人と、都合による人に区別できることは同じです。
ベジタリアンの食嗜好は、全て同じではなく、様々な区分があります。
場合によっては肉製品を口にするフレキシタリアン(セミ・ベジタリアン)。
菜食と乳製品は摂取するラクト・オボ・ベジタリアン。魚肉を除いた肉のみ食べないペスコ・タリアン。
ベジタリアンの中には、こうした細かい区分にこだわりを持つ人もいます。
ヴィーガンを実践している有名人
ヴィーガン生活を送っている人といえば、やっぱり海外セレブ。
ナタリーポートマンはベジタリアンからヴィーガンへの移行を告白しています。
ほかにも多くのセレブや有名人がヴィーガンを表明し、海外では生活の一部となってなりました。
海外と比べると認知度の低い日本ですが、多くの有名人がヴィーガン生活を取り入れ始めています。
ここではヴィーガンを取り入れている日本の芸能人たちにスポットを当ててご紹介します。
ローラ
モデル出身のローラさんは、バラエティでも活躍するとても明るい性格の女性タレント。
日本人離れしている高身長に長い脚、腕とスタイルの良さが際立つ女性でもあります。
ローラさんのヴィーガンタイプは「フレキシタリアン」。
これは菜食をメインにお肉や魚を必要があれば時々食べるという食事スタイルです。
私生活が投稿されているInstagramの食事写真では、フレキシタリアンのメニューが多くアップされて多くのファンが彼女の食生活を真似ているのだとか。
ローラさんの場合は海外ほど認知されていないフレキシタリアンタイプのため、魚や肉を食べているためヴィーガンではないとの批判も少なくありません。
ヴィーガンの種類について、多くの人が知れるきっかけになればいいですね。
関連記事:ローラのSDGsな取り組みやサステナブルブランドを紹介
吉川ひなの
子供時代にキュートなファッションモデルから芸能界デビューを果たし、歌手や役者として長い活動歴を持つ吉川ひなのさん。
お嬢様育ちだったため、父親からは若い頃に家では姫と呼ばれていたそうです。
現在ではご結婚され、ハワイで暮らしています。
吉川さんがヴィーガンへ転身したのは、ヨガを始めたことがきっかけでした。
ヨガの思想を取り入れたことから、ヨガの考え方から肉食を完全にやめることにつながったとお話しされています。
その後も周囲の人たちの考え方に影響を受けながら、自分にできないことを動物にもしたくないと思うようになりました。
最初ヴィーガンに転身したきっかけは自分のためだったそうですが、現在ではハワイの環境からの影響も受けて、地球環境や動物のためにヴィーガンを取り入れているそうです。
何よりもヴィーガンにしてから親子共々、心身の調子が良いとお話しされていました。
自分以外の家族は肉食を食べているということですが、食卓を共にしても強要せずとも8割はヴィーガン食を行なっているそうです。
中田敦彦
漫才師としてテレビの出演し、学業優秀だったという中田さんはYouTuberとしても活躍中です。
いつのまにかヴィーガンとしても有名になっていました。
中田さんのヴィーガン生活を取り入れた動機はいたって普通です。
加工肉をよく食べると癌になりやすいと、病気予防と健康維持のためにヴィーガンへ転身しました。
血液病気の多くは動物性タンパク質取りすぎから起こると、健康上の理由が原因で一時的にヴィーガンに転身したそうですが、現在ではヴィーガン生活を続行されているのかどうか不明です。
ベッキー
明るく笑顔でいつもお茶の間を賑わしていたタレントのベッキーさん。
結婚後はテレビ露出控えめですが、現在はスキンケアブランドやインスタグラマーとして活躍しています。
ベッキーさんも菜食主義とされる「フレキシタリアン」とされています。
動物好きで知られるベッキーさんは、動物愛護の観点からも完全ヴィーガンに近い食生活されています。
食生活だけでなく動物の毛皮などにも反対しており、ヴィーガン度は他の芸能人と比べて高そうです。
ベッキーさんといえば、お母様が外国の出身と言われています。
ヴィーガンへの理解や興味は日本人よりも深いのかもしれませんね。
ヴィーガンとSDGsの関係性
ヴィーガンは肉食をやめること、肉食をできるだけ控えるという食性です。
ただそれだけではないのです。
ヴィーガンは、地球環境、動物保護、という環境問題へも絡んでいます。
ヴィーガンになれば、地球温室ガスの排出を軽減できる、森林伐採、森林破壊、水質汚濁、野生動物の減少、家畜動物への保護を目的にして、少しでもこれらの問題を改善する機会につながるとされています。
徹底しているヴィーガンでなくても、念頭に入れて食事を選ぶだけで良いのです。
SDGsの中でヴィーガンがどう関係するのかについて、農耕地と食料確保の問題が改善、水質汚染と水の使用量減少、温室効果ガスの排出量を抑える、項目でご紹介します。
農耕地と食料確保の問題が改善
ヴィーガンを推奨する人たちの考えには、世界の畜産による土地の利用が課題になっているようです。
たとえば、世界の多くの土地で家畜用の飼料が生産されているという現状がありますよね。
これを人間が肉食をやめることにより家畜用飼料を生産する土地の削減が叶う、その家畜用飼料、家畜を育てるための土地に代わりに人間用の作物を育てることで、世界で貧困に苦しむ人たちに食料が行き届くという考え方です。
こうした農耕地の汚染、利用と農作物への転換について課題にあげているヴィーガンは少なくはないようです。
水質汚染と水の使用量減少
将来的に食肉になる家畜業で問題とされている水質汚染の問題。
海外においても家畜の出す汚水などが自然界へと流されているということが問題となっているようです。
日本ではこうした問題は少ない方ですが、まだ整備が行き届いていないような国、海外でも課題があるようです。
人がお肉を食べないヴィーガンでは、家畜の飼育に必要不可欠なお水も減らすことができるそうです。
ヴィーガン的な考えでは、家畜のお水を作物栽培にまわすことが良いとのこと。
ヴィーガンに転身する人には環境汚染の観点から転身する人もいれば、動物、家畜への権利や考えからヴィーガンを選ぶ人もいるようですね。
温室効果ガスの排出量を抑える
全人口が肉食を断ちヴィーガンに転身することで、温室効果ガスの減少が叶うという研究結果があるそうです。
たとえば、家畜業では森林破壊を行なってまで土地を確保していたり、世界で数億匹の動物が家畜として育てられているので野生動物の割合が減少、家畜動物の割合が人間よりも多いそう。
ヴィーガンにも種類があるため、全人口が完璧なヴィーガンになる必要もないですが、せめて菜食と栄養に応じ魚肉を口にするタイプのヴィーガンになってもいいかもしれないですよね。
ヴィーガンで食べる意識を改善
日本においてのヴィーガンとは、団体では学校給食やレストラン、カフェでの普及活動がメインで行われています。
小学校でのヴィーガン学校給食はどのようなメニューでしょうか?
たとえば、これまでは豚肉を食材に使われていたところを大豆ミートで代用。
日本の粗食である一汁山菜というメニュー。
学校給食ともなれば、児童のアレルギーや健康管理も重要になってくるため、お肉と魚の代用品には試行錯誤する栄養士さん。
そもそも、ヴィーガンとは肉を口にできる以前の昔の日本の庶民の食事に戻るということかもしれません。
そのような学校給食のメニューです。
学校給食をヴィーガンにする目的、意義は環境保護や動物への権利、愛護を意識されているようです。
ヴィーガン給食
ヴィーガン給食は小学校で取り入れられている都道府県もあります。
首都圏にある小学校の給食では、食の多様な価値観を知る目的からヴィーガン給食が実施されました。
子供たちにはお肉やお魚を使わない料理、食事が存在することを学んでもらうためです。
ヴィーガンは思想上の食性のため、栄養バランスも視野に入れた選択が必要。
お魚やお肉からのタンパク質や栄養素を摂取できないという栄養士や医師からの指摘もあるようです。
栄養を考えたヴィーガンをどのように食べるか?課題のようです。
首都圏の小学校では月に一度だけヴィーガン給食が提供されており、栄養バランスの問題は無さそうですね。
官公庁、区役所などの食堂にヴィーガンメニューが導入
ヴィーガンメニューといってもレシピがわからないとお料理はできませんよね。
首都圏に区役所の食堂ではヴィーガンメニューなるメニューが登場。
野菜仕立てのかき揚げうどん、野菜仕立てのキーマカレーとベジタリアンかと思ってしまうようなメニュー名です。
なんと、商品には特定非営利活動法人活動法人、ベジプロジェクトジャパンではヴィーガン認識、ベジタリアン認識をつけてくれるそうです。
日本では最もポピュラーな認識マークと言うことです。
野菜がたっぷりと食べることができるメニューは働く成人にとっては健康志向、ヘルシーメニューです。
ヴィーガンの今後について
夏の気温上昇、冬の寒波と異常気象が目立っている昨今、徐々に環境破壊のツケが回ってきているようにも感じます。
すでに世界各地で起こる異常な現象に伴い、環境破壊の原因を改善しようという取り組みや意識を持つ人も増えてきました。
ヴィーガンは動物の権利を守るための思想上食性ですが、環境問題にも大きく絡んでいるため今後ますますヴィーガンは広がっていくでしょう。
お肉は栄養価高くエネルギーを補給するために必要不可欠なため、完全にヴィーガン生活をするのはハードルが高いと思われがちです。
しかし、ヴィーガンという思想やヴィーガン中にも菜食と両立する食性があることが知られることで、地球環境にやさしい食生活を送る人が増えていくでしょう。
健康上の問題からヴィーガンになる人、思想からヴィーガンに転身する人と様々です。
ヴィーガンがあまり浸透していない日本では首都圏の区役所や学校でヴィーガン食が取り入れられており認証マークも登場し、今後ヴィーガン食のメニューをどのように普及や一般家庭に伝えていくのかという課題もありますね。
ヴィーガンを取り入れ地球環境に優しい食生活を意識しよう
食の多様性を知ることで地球環境への配慮や野生動物への間接的な救護、家畜動物たちへのストレートな救護につながります。
ヴィーガンという食生活は年齢層ごとで受け入れ安さも異なるため、若年層からヴィーガンメニューを普及させていくようになれば、さらにヴィーガンの考えや恩恵に良い結果をもたらすはずです。
今後、家庭や個人でヴィーガンメニューのレシピを伝えていく役割が求められそうです。
若年層以外の世代も新しい言葉概念を排除することなく興味を持つことが大切です。若い世代から教えてもらうことも増えていくでしょう。
下記記事では、ヴィ―ガンレストランも紹介しているので、合わせて読んでみてください。
『GREEN NOTE(グリーンノート)』は環境・社会課題をわかりやすく伝え、もっと身近に、そしてアクションに繋げていくメディアです。SDGs・サステナブル・ESG・エシカルなどについての情報や私たちにできるアクションを発信していきます!