【8選】LGBTQ +・ジェンダー・多様性に関する日本と海外映画
ジェンダーについて取り上げられる機会が増えました。
「ジェンダー平等」や「LGBTQ+」、「多様性」という言葉を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか?
SDGsでも目標5「ジェンダー平等を実現しよう」でジェンダーに関する社会問題が取り上げられています。
今回はジェンダー問題や多様性が良くわかる映画を、日本と海外に分けて紹介します。
【日本】ジェンダー問題が良くわかる映画
日本ではまだ数が少ないものの、ジェンダーに関する映画は徐々に増えています。
その中から4つの作品をご紹介します。
- 彼らが本気で編むときは
- ミッドナイトスワン
- his
- カランコエの花
彼らが本気で編むときは、
2017年に公開された映画「彼らが本気で編むときは、」は、トランスジェンダーと家族のあり方を描いた作品です。
母親のヒロミと2人暮らしをしていたトモは、11歳の女の子。
ある日ヒロミはトモを置いて家を出て行ってしまいます。
一人になったトモは叔父であるマキオの家を尋ねるのですが、そこにいたのは元男性であるトランスジェンダーのリンコでした。
最初は戸惑いを隠しきれないトモですが、手料理を振る舞ったりキャラ弁を作ったりしてくれるリンコの愛情に触れ、親子のような関係になっていきます。
ベルリン国際映画祭では日本映画で初となるテディ審査員特別賞と観客賞を受賞しています。
Netflix:彼らが本気で編むときは、
ミッドナイトスワン
トランスジェンダーを題材にした映画「ミッドナイトスワン」。
凪沙は新宿のニューハーフショークラブで働くトランスジェンダー。
ある日、親戚の娘である一果が故郷の広島からやってきます。
叔父だと思っていた凪沙が女性の姿をしていることに一果は戸惑いますが、一緒に暮らすうちに受け入れていくのでした。
孤独だった二人は、徐々にお互いを唯一無二の存在と認識していきます。
凪沙は「母になりたい」「一果のために生きたい」という想いを抱き始めるのです。
社会の中にあるトランスジェンダーへの差別や無理解を考えさせられる作品となっています。
公式サイト:ミッドナイトスワン
his
映画「his」は、2人の男性の物語です。
男子高校生の井川迅と日比野渚に芽生えた友情は、いつの日か愛情に変わっていました。
しかし大学卒業を迎える直前、渚から突然別れを告げられるのです。
時は13年後、自分がゲイであることを周囲に隠しながら暮らしていた迅のもとに、6歳の娘・空を連れた渚が現れます。
最初は戸惑う迅ですが、3人で暮らしていくことに。
そんなある日、渚が妻と離婚や親権の協議をしていることを知らされるのでした。
この作品では、同性愛の物語に加え、変化する家族の在り方やシングルマザーの過酷な現状などが描かれています。
カランコエの花
第26回レインボー・リール東京でグランプリに輝いた「カランコエの花」。
この作品は、LGBTを当事者ではなく周囲の人々の様子から描いた作品です。
ある日、高校2年生のクラスで突然「LGBTについて」の授業が行われました。
しかし他のクラスではその授業は行われません。これを知った生徒たちは「うちのクラスにLGBTの人がいるのでは?」と考え始めます。
思春期ならではの葛藤を抱きながら、生徒たちはそれぞれ行動を起こしていきます。
大切な人を守るための行動が大切な人を傷つけているかもしれない。
この作品を見た一人ひとりに「どう考えるか」というメッセージが込められています。
39分の短編映画で、教育機関や自治体、企業でのLGBT研修などに使用も可能です。
公式サイト:カランコエの花
【海外】ジェンダー問題が良くわかる映画4選
海外映画にもジェンダー問題を描いた作品はあります。
今回はその中から、4つの作品を紹介します。
- リリーのすべて
- リトル・ガール
- パレードへようこそ
- パッドマン 5億人の女性を救った男
リリーのすべて
性別適合手術を世界で初めて受けたリリー・エルベの実話を映画化した作品。
1920年代のデンマーク、女性画家のゲルダは夫のアイナーと暮らしていました。
ある日アイナーはゲルダに頼まれて女性モデルの代役をすることに。
このことがきっかけで、アイナーの中にあった本当の自分「リリー」の存在を意識しはじめます。
女性として生きることを選んだ夫に、ゲルダは困惑するものの徐々に理解を深めていきます。
ゲルダはリリーが望む姿になることを応援するのですが、その道のりは険しいものでした。
しかしLGBTQという考えが知られていない世の中で、葛藤しながら生きていく、リリーとゲルダの姿は、私たちの心を深く揺さぶります。
リトル・ガール
「リトル・ガール」は、望む性別を生きられない少女と子供の自由を守りたいという母親を写したドキュメンタリー映画です。
主人公は、フランス北部のエーヌに住む女の子「サシャ」。
身体は男性であるものの、2歳頃から自身の性を女性と訴えてきました。
家族は悩みながらも彼女の訴えを受け入れ、娘として育てることを決意します。
しかし周囲から、サシャは受け入れられませんでした。
教師はサシャのことを「彼」と呼び、バレエ教室では男性の役を与えられます。
サシャの母親「カリーヌ」は、長年自分たちを救ってくれる人を探していました。
その中である小児精神科医と出会います。
カリーヌは娘を守るために、学校や周囲に働きかけます。
この映画は「自分の性に違和感を感じた子どもを守るため、大人がどうするべきなのか」を考えさせてくれるでしょう。
公式サイト:リトルガール
パレードへようこそ
2014年のカンヌ国際映画祭でクィア・パルム賞を受賞した「パレードへようこそ」。
この映画は、マイノリティたちと町の人たちとの交流、友情を描いた作品です。
このお話、実話だそうです。
舞台は1984年のイギリス。当時の首相サッチャーが発表した炭坑閉鎖に対するストライキが数ヶ月に渡って行われていました。
これを知ったゲイの活動家グループは“LGSM(炭坑夫支援レズビアン&ゲイ会)を結成します。
炭坑労働者たちを支援するため、LGSMは募金活動を開始。多くの寄付金が集まるもののゲイという理由で、全国炭坑組合に寄付の申し出をすると断られてしまいます。
そんな時、唯一寄付を受け入れてくれる炭坑が現れます。
しかし実際にその炭坑町を訪れると、町の人の反応は冷たいものでした。
マイノリティへの偏見に屈しず、強くたくましく生きる彼らの姿に感動すること間違いありません。
公式サイト:パレードへようこそ
パッドマン 5億人の女性を救った男
この映画は、これまでとは少し違うジェンダーのお話。
2001年のインドで、生理用ナプキンを普及した男性「ラクシュミ」の物語です。
映画の舞台となった2001年のインドでは、生理用ナプキンの普及率はわずか12%。
そしてナプキンの値段は1枚55ルピー(ドリンク1杯5ルピー)と非常に高価なものでした。
ラクシュミはインドの小さな村で新婚生活を送っていますが、貧しいため妻のための生理用ナプキンが購入できませんでした。
ナプキンの代わりに不衛生な布を使用していたのです。
このことに気付いたラクシュミは、清潔で安価なナプキンを作ろうと決意します。
この映画も実話で、ラクシュミのモデルとなったのは社会起業家のアルナーチャラム・ムルガナンダム氏。
生理用ナプキンの製造だけでなく、簡易ナプキン製造機を女性の自助グループに販売することで女性の起業や意識改革を行いました。
公式サイト:パッドマン 5億人の女性を救った男
まとめ
「ジェンダー」という言葉の中には、さまざまな意味が存在します。
例えば、LGBTQをはじめ、男女格差や性被害など。
社会が私たち全員にとって住みやすい場所にするためには、どのような問題があるのかを認識し理解するところから始まります。
知らないことには、何もできませんよね。
理解の第一歩として、今回紹介した作品を見てみてはいかがでしょうか?
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