注目のフェイクミートとは?持続可能な食のメリットと世界と日本の現状
環境問題や健康面から注目されている「フェイクミート(代替肉)」は、近年メディアでの紹介も増え、一般での認知度も高まっています。
しかし具体的にどういうものなのかと言われると、理解している人は少ないのではないでしょうか。
フェイクミートは、サステナブルな食材として期待値が高い反面、安全性や価格など課題もあります。
この記事では、「フェイクミート(代替肉)」とはどのようなものなのかメリット・デメリット含めて詳しく解説。
併せて海外や国内の企業での取り組みをご紹介していきます。
なぜフェイクミートが注目されるのか解説
フェイクミートはなぜ注目されているのでしょうか。
それには環境面や健康面でのさまざまな理由があります。
ここではフェイクミートがどのようなものなのか。
なぜ必要なのか。
サステナブルな観点から解説をしていきます。
そもそもフェイクミートってなに?
まずはフェイクミートについて解説しましょう。
フェイクミートは日本語で書くと「代替肉」つまり肉の代用品です。
「食感も味も肉によく似ているが本物の肉ではない食製品」になります。
フェイクミートには大きく分けると二種類があります。
植物性のタンパク質から作られたもの
植物性タンパク質を利用して作られるフェイクミートには、主にソイ(大豆)ミートとグルテン(小麦)ミートが挙げられ、この他にもさまざまな植物性のフェイクミートがあります。
現在は主に大豆を使用したフェイクミートが、種類も数も多く販売されています。
関連記事:大豆ミートとは?メリットとデメリットやおすすめレシピを紹介!
培養肉
培養肉は最新の細胞培養技術によって、食用の肉を人工的に培養したものです。
動物を犠牲にすることなく生産できるため「クリーンミート」とも呼ばれます。
また、培養肉は基本的には本物の肉なので、フェイクミートと区別される場合もあります。
なぜフェイクミートが必要なの?
実際に牛や豚などの動物の肉が手に入るのに、なぜわざわざ植物から製造したり、人工肉を作ったりする必要があるのでしょうか。
それには以下のような原因があります。
- 世界的な健康志向上昇
- 人口増加による将来的な食糧危機
- 動物の犠牲を減らす
- 工業型畜産による環境負荷を軽減
いずれもサステナブルな視点から解決しなければならない問題であり、フェイクミートは、これらを解決できるポテンシャルを秘めています。
SDGsにも大いに関係
国連の定めた持続可能な社会を構築するためのSDGsの目標2は、「飢餓をゼロに」。
テーマは「飢餓を終わらせ、食料安全保障および栄養改善を実現し持続可能な農業を促進する」です。
この目標の飢餓を解決する手段としても、サステナブルフードは大きな注目を集めています。
フェイクミートのメリット5選
フェイクミートにはさまざまなメリットがあります。
ここではそのメリットをひとつひとつ具体的に紐解いていきましょう。
動物への負担を軽減する
生きるために他の動物を食料とすることはやむを得なくても、人間の欲望のために動物たちを犠牲にし続けることは、究極的に種の絶滅さえ招きかねません。
生物多様性や種の存続を考えても、過剰な動物たちへの負担は軽減しなくてはならないのです。
食文化の多様性に貢献
世界には多様な食文化があり、宗教的な理由などから動物性の食品を摂ることのできない人たちもいます。
そういった人たちもフェイクミートなら食べることが可能です。
環境負荷を軽減できる
工業型の畜産業は、環境に対して非常に負荷をかけていることをご存じですか。
効率を重視する畜産工業は、飼料の生産、肉の加工処理などの工程において大量のエネルギーを使用します。
エネルギーを多く使うということは、その分大量のCO2を排出するということです。
また牧畜をするのに必要な場所を確保するために、広大な森林が伐採されており、森林破壊の原因になっています。
このような環境への負荷を軽減できるメリットがフェイクミートにはあります。
人口増加による食糧危機解決
世界の人口は現在の77億人から2050年には97億人と、今後20億人は増加すると予想されています。
人口に比例して、食料消費も増え続けることは間違いありません。
フェイクミートはこの問題に対応できる食品のひとつとして、大きなポテンシャルがあります。
健康増進への期待
高カロリー食の過剰摂取は、先進国を中心に多くの健康被害を招きました。
子供まで成人病にかかる社会が正しいはずがありません。
植物性のフェイクミートは、高タンパクでありながらも、脂質が低く食物繊維が豊富です。
肉の代わりにこれらを食べることで、 満足感と健康度を向上させ、健康増進が期待できるというメリットがあります。
フェイクミートのデメリット3選
ここからはフェイクミートのデメリットをお伝えします。
デメリットを知ることで、今後フェイクミートの抱える課題を考えていくことが大切です。
手に入れにくい
フェイクミートを製造販売している企業はまだ多くありません。
そのため普通のスーパーでは、気軽に手に入れにくいのが現状です。
しかし健康食品を扱う店では徐々に商品が増えています。
価格が高額
前述したように、まだ製造販売が少ないため、価格が手頃とは言いにくい状況です。
そのため家族の人数が多い家庭では、気軽に購入するのは難しいかもしれません。
健康への悪影響懸念
植物性のフェイクミートには、遺伝子組み換えを利用して製造されたものもあります。
また培養肉はもともとの肉の細胞を最新技術で培養して作っています。
どちらも自然にできたものではないため、安全性の面に不安がないとは言えません。
特にそれらを食して長期的にどのような健康面への影響があるかは、今後のデータをみないと判断できないでしょう。
フェイクミート商品に取り組む海外・国内企業事例6選
ここからは、フェイクミート商品の開発販売に取り組む海外と国内の企業をご紹介していきます。
海外も国内も老舗の食品会社からスタートアップ企業まで、さまざまな企業が開発に取り組んでいます。
環境問題や健康面から見てもフェイクミートの市場は、今後さらに拡大することは間違いないでしょう。
海外のフェイクミートフード
Impossistrongle Foods(インポッシブルフーズ)
インポッシブルフーズは、遺伝子組み換え酵母から作られる大豆レグヘモグロビンを使用することで、本物の肉の味と香りを再現。
1000以上のレストランにフェイクミートを供給しているアメリカを代表する代替肉のメーカーです。
BEYOND MEAT(ビヨンドミート)
ビル・ゲイツの資本参加でも知られているビヨンドミートは、世界初の上場を果たしたメーカーです。
ビヨンドミートのフェイクミートは、赤みの肉部分はビーツ色素を利用するなど100%植物由来で製造されており、消費者にとって安心感の大きい企業と言えます。
出典:BEYOND MEAT
Amy’s Kitchen(エイミーズキッチン)
エイミーズキッチンは、まだベジタリアンという言葉さえめずらしかった1988年にアメリカで設立。
タンパク質豊富な有機キノアやグルテンフリーのオーツ麦などを利用したフェイクミートのベジバーガーを製造。
アニマルフリーなだけではなく、 遺伝子組み換え、化学調味料などの添加物を一切使用していない食品を製造しています。
日本のフェイクミートフード
日本ハム
日本を代表するハム・ソーセージメーカーの日本ハムは、独自の製法で大豆特有の青臭さを軽減した大豆ミートを実現しました。
その調理加工品はハム・ソーセージに留まらず。
唐揚げやミートボールなど多岐にわたっています。
出典:日本ハム
不二製油
国内のシェアNo.1を誇る不二製油の大豆ミート食品は、国内でいち早く大豆研究に取り組んできました。
1969年には肉に近い食感の「粒状大豆たん白」の「フジニック」を発売。
現在はさまざまな使用目的に合わせた60種類に渡る粒状大豆たん白を製造、販売しています。
出典:不二製油
無印良品
無印良品は2020年より大豆ミートシリーズを販売しています。
ハンバーグやミートボールといった消費者に人気の加工品から、水戻し不要で手軽に調理できる「ひき肉タイプ」や「薄切り肉タイプ」を提供しています。
出典:株式会社良品計画
持続可能な食の未来を多様に考える必要性
サステナブルフードのひとつであるフェイクミートについて、さまざまな面から解説しました。
食は人が生きる上で欠かせない行為のひとつ。
しかし 過剰な食欲は、環境面にも健康面にも悪影響を及ぼします。
私達は過剰な食への欲求を抑制し、持続可能な食の構築と食べる喜びを両立しなくてはいけません。
フェイクミートを使った調理をして、サステナブルな食に貢献してみませんか。
『GREEN NOTE(グリーンノート)』は環境・社会課題をわかりやすく伝え、もっと身近に、そしてアクションに繋げていくメディアです。SDGs・サステナブル・ESG・エシカルなどについての情報や私たちにできるアクションを発信していきます!