キリンビバレッジ 高橋知世さん|子ども向けのペースト食で、楽しく食卓を囲める世界を実現に向けて【イノベーターインタビュー】
イノベーターインタビューシリーズ第2弾。
今回は、こども向けのペースト食の開発のために活動されているキリンビバレッジ株式会社の高橋知世(たかはしともよ)さんに
- 環境問題・社会問題の解決に取り組もうと思われたきっかけ
- 事業の概要について
- 新しく挑戦されようという方へ、アドバイス
についてお話を伺いました。
キリンビバレッジ株式会社 近畿圏統括本部 近畿圏支社 自動販売機営業部 課長 高橋知世(たかはしともよ)。
1984年静岡県生まれ。2008年キリンビバレッジ株式会社に入社し、中部圏地区本部の法人営業部に配属される。仕事の傍らジュニア野菜ソムリエ資格を取得。その後北陸3県の法人営業を経て、近畿圏地区本部法人営業部に配属。2015年に長女を出産。長女に先天的な疾患があり、人工呼吸器など医療的ケアを必要とするため、5年間の休職を余儀なくされる。2020年に復職し、働き方の見直しとともにインサイドセールスを立ち上げる。自身の子育てをもとに新規事業を起案し、CHANGE by ONE JAPAN3期グランプリ獲得。経済産業省「始動 Next Innovator」2022のシリコンバレー選抜に選ばれ、2月に8泊10日でシリコンバレーで勉強に向かう。
きっかけは胃ろうから食事をとる娘との生活の中での不便さと
小学1年生の私の娘は、18トリソミーという先天性の疾患があり、24時間人工呼吸器をつけて生活しています。
また、飲み込む力が弱いため、食事を口からとることができず、胃ろうから食事をとっています。
呼吸器の管理があるため見守りが欠かせず、様々な医療的ケアがありますが、4歳の元気盛りな弟と毎日楽しく過ごしています。
生活の中で不便さを感じることがありますが、私はキリンで働いているのだから「食」の面で、この子たちやその家族を幸せにしたいと考えるようになりました。
ペースト状の物しか食べられない子どもに、ちゃんとした食事をブレンダーでペーストにしている家庭もあります。
食事は毎日のことなので、親の負担を軽減させたいし、こどもにはおいしいものを食べさせたい。
もっとお出かけもしていろいろなことを経験させたい。
そんな想いから、家族が幸せになる商品を届けたいと思っています。
事業の概要|子ども向けペースト食の市販品の開発
胃ろうの子どもが食事をとる際は、食形態をペースト状にしなければなりません。
離乳食のペーストや介護食は市販品として売っていますが、子供向けの市販の商品はなく、各家庭で食事をペースト状に二次調理することで初めて食事がとれる状態になります。
ペースト状にした食事を注射器で何度も吸い上げて胃ろうのチューブに通し、食事ができるのですが、二次調理する手間と、あげる手間があることはもちろん、外出時にペースト食を提供してくれる飲食店はほとんどなく、親が頼れるものがないため子ども向けのペースト食を開発、親の負担軽減のために、胃ろうに直接接続できる容器設計にします。
親の負担が大きいと食事が辛いものになってしまうので、家族が楽しく食卓を囲める世界を実現したいと考えています。
初期ターゲットは胃ろうの子どもですが、口からペーストの食事を食べる子どもにも拡大し、将来的には障害者が食べるものではなく、障害者も健常者も関係なく、みんなが食べる食を実現したい、という未来を描いています。
新しく挑戦されようという方へ、アドバイス
何かを変えたいと思ったら、とにかく1歩踏み出してみてください。
できれば社外の人と関われる場所に。
できるだけ多くの人と関わりに。
辞める理由は簡単に見つかるけど、それはいったん置いといて。
諦めさえしなければ、見える景色が変わり、自分が変わり、世界をきっと変えられるはずです。
同じ悩みを抱える方へ
世の中の偏見と体制が整っていないという現実がありますが、障害者も健常者も関係なく、みんなが食べる食を実現したい、という世界を目指していきます。
このような世界の実現に向けて、その中で意見をいただいたり、協力いただくことあるかと思います。
家族の皆さんが幸せになる商品を届けられる未来の実現を、共に頑張っていきましょう。
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