エシカルライフ

グリーンウォッシュに惑わされないために|エコを選ぶ前に知っておきたいこと

近年、「環境にやさしい」「サステナブル」といった言葉を目にする機会が増えています。一方で、その表現が実態を伴っていないケースも少なくありません。こうした見せかけだけの環境に対する行動は「グリーンウォッシュ」と呼ばれ、企業の信頼性を損なうだけでなく、消費者の正しい選択や、本質的な環境への取り組みを妨げる要因にもなっています。

本記事では、グリーンウォッシュの意味や種類、問題視される理由など、実際の具体例も交えて紹介します。

グリーンウォッシュとは?

グリーンウォッシュは、エコを連想させる「グリーン」と、ごまかしを意味する「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた造語です。「環境にやさしい」「サステナブル」などとアピールしながら、実際にはその中身が伴っていない、見せかけだけの配慮を指します。

実際には大きな環境負荷があるのに、ごく一部だけを切り取って「CO2削減」や「エコ素材を使用」などと強調する広告や、根拠や実態がないのに、「環境にやさしい」「サステナブル」といったあいまいな言葉をパッケージに記載するなどがそれにあたります。

参考:自然電力グループ「グリーンウォッシュとは?問題点や規制の現状、回避する方法を解説」
参考:グリラボ「グリーンウォッシュとは?意味や日本での事例などをわかりやすく解説」

グリーンウォッシュの種類

グリーンウォッシュは、主にイギリスのシンクタンク「Planet Tracker(プラネット・トラッカー)が2023年に発表した報告書「The Greenwashing Hydra(ザ・グリーンウォッシュ・ハイドラ)」で、6つのタイプに分類されています。

種類 解説
グリーンクラウディング 環境配慮を掲げる団体を隠れみのに、実際は環境に有害な活動を行うこと
グリーンライティング 小さな環境活動を強調して、全体の大きな環境負荷を隠すこと
グリーンシフティング 責任を消費者に転嫁して、自社の環境問題を回避すること
グリーンラベリング 「エコ」「サステナブル」などのあいまいなラベルで誤解を招くこと
グリーンリンシング 達成不可能な目標を掲げ、のちにその目標を変えて達成したとごまかすこと
グリーンハッシング ESG情報*を意図的に隠して、批判を避けること

いずれの行為も消費者や投資家が正しい判断ができずに、本当に環境に配慮した活動が行われているかが不透明になるため、大きな問題とされています。

*ESG情報:企業が環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの観点から、持続可能な成長のために取り組んでいる非財務情報を指す

参考:GX DIG「グリーンウォッシュとは?事例から学ぶグリーンウォッシュの実態と法規制の最新動向まで解説!」

グリーンウォッシュが問題視される理由

グリーンウォッシュは、多方面への影響を及ぼす行為で問題視されています。主な理由は以下のとおりです。

  • 消費者が正しい選択ができなくなる
  • 企業のブランドイメージが損なわれる
  • 環境や社会への悪影響を及ぼす
  • 従業員のモチベーションが低下する

それぞれ解説します。

消費者が正しい選択ができなくなる

企業が「エコ」「サステナブル」などの表現を使って、一部の小さな取り組みだけを強調すると、消費者はその表現をうのみにします。例えば、リサイクル可能な一部の素材だけを宣伝しつつ、大きな環境負荷を隠すケースなどです。このような行為は消費者を混乱させ、正しい判断や購買ができなくなります。

参考:自然電力グループ「グリーンウォッシュとは?問題点や規制の現状、回避する方法を解説」

企業のブランドイメージが損なわれる

グリーンウォッシュが発覚すると、企業のブランドイメージが損なわれ、長期的な信頼の失墜につながります。消費者や投資家、取引先からの信用が失われるので、顧客離れや売り上げの減少、株価への影響などを招くおそれがあります。

環境や社会へ悪影響を及ぼす

グリーンウォッシュが発覚すると、環境負荷に真剣に取り組む企業のイメージや評価までも下げる可能性があります。見せかけの環境活動によって気候変動対策や生物多様性の保存などの活動が進まなくなり、環境やSDGsの目標達成にも大きな影響を及ぼします。

参考:GREENPEACE「その『エコ』は本物? グリーンウォッシュの見分け方と回避法」

従業員のモチベーションが低下する

グリーンウォッシュは、企業が掲げる価値観と実態の差に従業員が不信感を抱くため、モチベーション低下を招きます。企業がアピールしている環境への取り組みが実際と異なるので、従業員は誇りや帰属意識を失うからです。結果として、生産性の低下や優秀な人材の確保が難しくなり、企業経営にも影響を及ぼしかねません。

参考:ScopeX「注意すべきグリーンウォッシュの企業事例と解説」

グリーンウォッシュの具体例

では、どのようなグリーンウォッシュが行われてきたのでしょうか。ここでは、実際にあった具体例をご紹介します。

マクドナルド

イギリスとアイルランドの店舗で、プラスチックストローから「100%リサイクル可能」とされた紙ストローに切り替えられました。しかし、実際はストローに厚みがあったためリサイクル処理ができず、廃棄されていたことが2019年、内部資料で発覚しました。

この行為は、環境配慮をアピールしたものの実態が伴わなかったグリーンウォッシュとして、メディアでも非難されました。これにより、マクドナルドはブランドイメージが大きく損なわれたのです。2009年にヨーロッパでマクドナルドのロゴを赤黄から緑黄に変更したことも、「エコイメージ」を狙ったものとしてグリーンウォッシュという指摘を受けています。

参考:GREENPEACE「その『エコ』は本物? グリーンウォッシュの見分け方と回避法」
参考:NET ZERO NOW「グリーンウォッシュとは?意味と過去の事例・騙されないための10の見分け方」

H&M

H&Mはファストファッション企業としてグリーンウォッシュの指摘を多数受けています。特に「Conscious Collection(コンシャス・コレクション)」が主な事例です。

2019年にH&Mが発表した「Conscious Collection」は、「100%オーガニックコットンや、リサイクルポリエステルなどの持続可能素材を使用」と宣伝しましたが、リサイクル素材の具体的な含有量や根拠データが不足していました。ノルウェー消費者庁から「マーケティング法に違反している」と指摘され、是正を求められました。

米国では2022年に、「Conscious Choice(コンシャス・チョイス)」製品でのサステナビリティに関する主張が誤解を招くとして集団訴訟が発生しています。「50%以上のサステナブル素材使用」と主張し、水の使用量や化石燃料を少なく表示していましたが、これらが誤解を招きました。リサイクルプログラムの実態も疑問視され、ブランドイメージを損なっています。

参考:dezeen「H&Mはコンシャスファッションコレクションで『グリーンウォッシング』を非難された」
参考:ビジネスと人権センター「米国:H&M、グリーンウォッシュを巡る集団訴訟に直面『サステナブル』衣料品ラインのマーケティングが誤解を招く虚偽の内容であるとの疑い」

スターバックス

スターバックスは2018年に「ストローのいらない蓋」を導入し、プラスチックストロー削減をアピールしました。しかし、この蓋は今までのストローと蓋の使用よりもプラスチック使用量が多かったため、廃プラスチック削減効果が薄いと批判されました。

「ストローのいらない蓋」は「リサイクル可能なポリプロピレン製」と宣伝しましたが、実際はリサイクル率が9%と低く、環境負荷低減の効果に見合わないとしてグリーンウォッシュの指摘を受けています。

参考:GX DIG「グリーンウォッシュとは?事例から学ぶグリーンウォッシュの実態と法規制の最新動向まで解説!」

トヨタ

2008年、ベルギーの欧州新聞「European Voice」に掲載したプリウスの広告で、「Zero emissions low(CO2排出量ゼロの低さ)」というあいまいなキャッチコピーを使用しました。具体的な数値や規制値との比較がなかったため、消費者を誤認させる行為として批判されました。トヨタは広告を取り下げ、以降は具体的なデータ開示を強化。ブランドイメージに一時的な打撃を受けました。

参考:GX DIG「グリーンウォッシュとは?事例から学ぶグリーンウォッシュの実態と法規制の最新動向まで解説!」

グリーンウォッシュを見抜くためのポイント

グリーンウォッシュを見抜くために、いくつかポイントがあります。

  • 数値やデータが示されているか
  • あいまいな表現をしていないか
  • 第三者認証や環境ラベルが表示されているか
  • 環境にどれくらい貢献しているか

それぞれ解説します。

数値やデータが示されているか

「エコ素材使用」「CO2削減」などの抽象的な表現ではなく、「再生素材を50%使用、従来比CO2排出30%削減」のように、具体的なデータや数字を用いて明記されているかを確認しましょう。

参考:HELLO!GREEN「グリーンウォッシュとは?意味や景表法・SBT認定との関係性などを徹底解説」

あいまいな表現をしていないか

「エコ」「環境にやさしい」「サステナブル」「グリーン」などの抽象的な言葉ではなく、何と比べてどれくらい優れているかなどの具体的な表現がされているか確認しましょう。

参考:GX map「グリーンウォッシュとは?カーボンニュートラルやエコ表示に惑わされないために知っておくべきこと」

第三者認証や環境ラベルが表示されているか

第三者認証や環境ラベルの有無を確認し、環境に配慮されているものか確認するのも有効です。グリーンウォッシュは自社の主張だけでは判断しにくいため、第三者認証や環境ラベルがあるものは裏付けされている証しです。

ただし、認証マークが付いていても認証基準がやさしいものもあるため、信頼性も確認するようにしましょう。

参考:GX map「グリーンウォッシュとは?カーボンニュートラルやエコ表示に惑わされないために知っておくべきこと」
参考:地球未来図「グリーンウォッシュの実態とこれからー“サステナブル”の裏に潜む罠を知る」

環境にどれくらい貢献しているか

「エコ素材使用」という表現だけで判断するのではなく、ライフサイクルアセスメント(LCA)*で温室効果ガス排出量、水消費量、エネルギー消費量などのデータが提示されているか確認します。これにより、製品全体や企業活動がどれだけ環境負荷に貢献しているかわかります。

LCA:「原料調達・製造・流通・使用・廃棄・リサイクル」までを含めたライフサイクル全体で、どのような環境負荷が発生するのかを定量的・総合的に評価・査定する方法

参考:リユースファッション研究所「その『エコ』は本物?企業のグリーンウォッシュを見抜くための3つの視点」
引用:自然電力グループ「LCA(ライフサイクルアセスメント)とは|意味・企業への影響を知って脱炭素経営に役立てる」

まとめ

グリーンウォッシュは、専門的な話に聞こえるかもしれませんが、実は私たちの日常とも深くつながっています。「環境にやさしい」「エコ」と書かれた商品を手に取るとき、その言葉をそのまま信じていいのか、一度立ち止まって考えることも大切です。ご紹介したグリーンウォッシュの例や判断基準をもとに、企業の姿勢を見極めて正しい選択をしていきましょう。

私たち一人ひとりの意識が、誠実な取り組みを後押しする力になるはずです。

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