高校生が考える再生可能エネルギー、その特徴と現状
SDGs目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」でも掲げられ、注目されている再生可能エネルギー。
再生可能エネルギーとは石油や石炭などの有限な資源であるエネルギーではなく、太陽光や風力、地熱といった地球資源の一部などの常に存在するエネルギーの事を指します。
日本のエネルギー自給率は11.8%と先進国の中でも極めて低く、ほとんどのエネルギーを海外からの輸入に頼っています。
エネルギーの需要が急速に増えていく中で、安定したエネルギーを自国で生産していくためにも、再生可能エネルギーは重要視されています。
この記事では再生可能エネルギーの特徴や導入するメリットやデメリット、今後の課題について考えていきたいと思います。
再生可能エネルギーの特徴
再生可能エネルギーの特徴としては、以下の3点が主に挙げられます。
エネルギーが枯渇しない点
前述した通り、再生可能エネルギーは、石油や石炭などの有限な資源を利用するエネルギーではありません。
主な発電源として、
- 太陽光
- 風力
- 水力
- 地熱
- バイオマス
などが挙げられていて、政府が定める再生エネルギーの定義にも『エネルギー源として永久的に利用することができると認められるもの』とされています。
どんな場所でもエネルギー源を調達できる点
化学燃料を使うことによって発生する有害物質や廃棄物(放射性廃棄物)が発生しないので、どんな場所にも発電所を設置することができます。
また、日本各地に設置することによって、もしどこかの発電所で不具合が生じたとしても、影響が出る範囲を最小限に抑えることができます。
温室効果ガスを排出しない点
化石燃料を使わないので、温室効果ガスの削減にも貢献することができます。
東日本大震災以降、温室効果ガスの排出量は増加しており、2013年には過去最高の排出量を記録しました。
原油や石油といった化石エネルギー源で発電する場合、燃料を焼却するために大量の温室効果ガスを排出します。
再生可能エネルギーを使えば、エネルギー自給率を上げながら、環境にやさしい取り組みをすることにも繋がります。
再生可能エネルギーの現状と課題
私たちが普通に生活をしていく中で、再生可能エネルギーについて考えたり、実際の恩恵を感じる瞬間はあまり無いかもしれません。
しかし、世界の再生可能エネルギーの市場は拡大しており、再生可能エネルギーを導入する企業が増加しています。
企業が再生可能エネルギーを導入するメリット
環境問題に積極的に取り組むことは、脱炭素化の流れに対する大きなアピールポイントになりますし、実際にビジネスとして取り入れることもできます。
例えば、太陽光発電で発電した電気を電力会社に販売することで、投資に活用することができます。
風力発電も発電コストが非常に安い上に、固定価格で買い取ってもらえるため安定的な投資先になると言えるでしょう。
実際に再生可能エネルギーを取り入れている企業として、東京メトロでは東京メトロ東西線9つの地上駅のうち8つの駅に合計1MWの太陽光発電パネルを設置しており、その年間発電量は約109万kWhにもなるそうです。
発電された電気は実際に駅構内の照明や空調設備などに使われています。
さらに東京メトロは2022年の間、本社ビルと総合研修訓練センターで使用する電力のCO2排出量を0にするために、再生可能エネルギー由来の電力に置き換える取り組みを行っています。
このように新しいビジネスを拡大したり、自社でエネルギーを賄えたり企業としての注目度やイメージアップにもつながることが期待できますね。
再生可能エネルギーの課題とデメリット
「環境にもよくて、資源が尽きることもなく、企業にとっても導入する利点が多いのに、なんで普及率が高くないの?」 という疑問がでてきました。
日本での普及率がなかなか上がらないのには、まだ課題が残っているからと言えます。
①発電コストが高い
再生可能エネルギーは燃料費がかからない代わりに発電所の建築や施設の整備などに時間がかかります。
また、日本は再生可能エネルギーが発達している諸外国と比べると、巨大な太陽光発電のパネルを設置したりするような広大な平地が多くありません。
太陽光発電に関しては欧米諸国と日本では発電にかかるコストが2倍近くの差があります。
②発電量が安定しづらい
自然の資源を利用した発電は、資源がなくならないメリットはありますが一方で、天候によって発電できる量が左右されてしまうという問題点もあります。
そのため、電気を貯めておいたり、足りない電気を補うシステムが必要になってきます。
電気は大量に溜めておくことが難しいため、結局足りない部分を火力発電などで補っているのが現状です。
電気の供給と需要のバランスが崩れてしまうと停電などを引き起こすリスクもあります。
再生可能エネルギー普及のために「固定価格買取制度(FIT)」
前述したように再生可能エネルギーは従来の発電方法よりもコストがかかってしまう点から、なかなか日本国内で普及が進みませんでした。
そこで再生可能エネルギー発電所で作られた電力を従来の電力よりも高値で買い取ることによって、再生可能エネルギーを広めようという制度を義務づけたのが「固定価格買取制度(FIT)」です。
この制度は高値で買い取ってもらえることに加えて、あらかじめ定められた一定の期間内は買取価格が変わることはありません。
例えば家庭用太陽光発電(10kW未満)は10年間、地熱発電は15年間、その他のエネルギーは20年間一定の価格で買い取ってもらうことができます。
しかし、買取にかかった費用の一部は国民の電気料金に上乗せされています。
制度によってたくさんの企業が再生可能エネルギー発電の導入を始めたことはもちろん喜ばしいことですが、国民の負担を減らすためにも効率的かつ、安定した電気供給が求められます。
再生可能エネルギーは今後日本で発達していくのか?
再生可能エネルギーを利用することは温室効果ガスを減らすことはもちろん、資源が少ない日本にとってはエネルギー自給率を向上させるためにも欠かせないものです。
しかし、私は企業や国にとってはメリットがあって取り組みたい内容だろうけど、私たちが実際に再生可能エネルギーについて考えたり、何かアクションを起こすことは難しいのではないかと思いました。
「どの発電を利用しても実際に私たちが使う電気は同じものじゃん。」
「自分たちが生きている間なんとかなるのなら別に再生可能エネルギーでもいいんじゃないかと思ってしまう。」
実際に学校の友達と再生可能エネルギーについてディスカッションした際にでた意見です。
もちろん肯定的な話もありましたが、こう考えている人も多いんじゃないかなーと思いました。
普段電気について困ることなく、ましてやまだ電気代を払う歳ではない私たちは、再生可能エネルギーの重要性について深く考えたり、必要だなあと感じることは難しいです。
少しでも身近に感じるためには、地震などの災害時に再生可能エネルギーによる蓄電を利用したり、再生可能エネルギーにしか補えないところ、代わりが効かないことを実感できるシステム作りが重要だと私は考えます。
企業にとってのメリットや環境にとってのメリットだけではなく、実際に暮らしに与えるメリットについて、もっと情報が共有されることが国全体として再生可能エネルギー普及を支えていくことにつながるのではないでしょうか。
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