エシカルライフ

リペアとは?5Rや企業事例を解説

「リペア」と聞くと、「買い替えた方が早いのでは」「何かメリットはあるのか」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。しかし、大量消費・大量廃棄の社会から循環型社会へ移行する中、捨てずに直して使うリペアが注目されています。

本記事では、リペアの意味や注目される背景、5Rとの関係、企業の具体的な取り組み事例を分かりやすく解説します。

リペアとは

リペアとは、壊れたり古くなったりしたものを修理・修繕し、大切に長く使い続けることです。身近な例としては、電池交換をして時計を使い続けたり、穴のあいた靴下を繕ってまた履いたりといった取り組みがあります。

また、リペアはごみの発生を抑え、限りある資源を無駄にしないための行動として「5R」の一つにも位置づけられています。

リペアを含む「5R」とは

5R」とは、従来の「3R(リデュース、リユース、リサイクル)」に、「リペア(修理)」や「リターン(返却)」、もしくは「リフューズ(断る)」といった項目を加えた、ごみの発生抑制と資源の有効活用を促進するための5つの行動です。

この中でもリペアは、すでに持っているものを使い続けるという、現実的で取り組みやすい方法として注目されています。5Rの実践はごみの発生を抑制できるため、循環型社会の実現に必要な要素の一つです。

リペアとリフォームとの違い

リペアは、製品が本来備えていた機能や仕様を回復させ、長く使えるようにすることが目的です。必ずしも新品同様にデザインや見た目を完全に復元することを目的とはせず、まずは機能の回復を優先します。

一方で、リフォーム既存のものを利用して価値を高める活動です。単なる修繕を超えたクリエイティブな作り替えの意味も含まれます。そのため、リペアはリフォームに比べて、小規模かつ低料金で取り組めるという点が大きな特徴です。

参照:江東区|今日からはじめる5R~5Rでごみを減量しましょう!~
参照:国立市|くにたちECOプロジェクト(5R)の推進

リペアが注目される理由

リペアが注目されているのは、これまで壊れたら買い替えるのが当たり前だった社会から、今ではすでにあるものを捨てずに大切に使い続ける循環型社会へと少しずつ変化しているためです。

従来の大量生産・大量消費・大量廃棄のやり方では、資源やお金が限られているため、いずれ行き詰まってしまいます。近年では、リペアのように今あるものを直して長く使い、資源をできるだけ循環させる考え方が広がっているのです。

ここでは、なぜリペアが注目されているのか、その理由を解説します。

廃棄コストの増加

ごみを処理するためには、回収や運搬、焼却、埋め立てなど多くの工程が必要で、社会全体で多額の費用がかかります。また、処分場の容量にも限りがあり、ごみを減らすことは早急に取り組むべき課題です。

日本では、令和5年度のごみ処理事業にかかった経費は22,912 億円と報告されました。一人ひとりが直接支払っている実感は薄いかもしれませんが、実際には税金などを通して社会全体で負担しているお金です。ものをすぐに捨てて買い替えるほど、ごみ処理にかかる費用や負担も増えていきます。

例えば、今持っている服を今年捨てずにもう1年長く着るだけで、日本全体で約3万トンの廃棄量を削減できると言われています。壊れたからといってすぐ捨てるのではなく、修理して使い続ければ、社会全体のごみの量を減らすことが可能です。

資源の消費や二酸化炭素の排出の削減

新しいものを作るためには、原材料の採掘や製造、輸送が必要であり、その過程で二酸化炭素が排出されます。また、日本は資源の多くを海外からの輸入に頼っているため、国際情勢や輸送状況によって影響を受けやすいという弱点も抱えています。

しかし、リペアのように今あるものを直して使い続ければ、新しく製品を作る量が減り、その分だけ資源の消費や二酸化炭素の排出を抑えることが可能です。

リペアは単に節約のためだけでなく、資源の無駄遣いを防ぐための現実的な方法といえます。

SDGs・循環型社会の実現

今あるものを修理して長く使うライフスタイルは、循環型社会を構築する上で重要な要素として、世界的にも注目されています。

2009年には、オランダのアムステルダムでリペアカフェがオープンしました。リペアカフェとは、住民が壊れたものを持ち寄り、ボランティアが無償で修理する地域のコミュニティ活動のことです。この取り組みは、現在では世界各地へと広がっています。

また、2024年にはEUが消費者の修理する権利を新たに導入する指令案に合意しました。この指令案は、法定保証期間外であっても、消費者の要請に応じて自社製品を修理することを製造事業者に義務付けたものです。

リペアは、ものの価値を最大限に活かす賢い選択肢の一つです。今後は、より多くの企業に修理サービスやパーツ提供などの充実したサポート体制が求められるでしょう。

参照:環境省|一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度)について
参照:環境省|サステナブルファッション
参照:環境省|EU、消費者の「修理する権利」を新たに導入する指令案で政治合意

リペアのデメリット

リペアは、ものを長く使い続けるための方法です。ただし、修理に出しても必ずしも新品のように元通りになるわけではありません。

ここでは、リペアのデメリットを紹介します。

見た目や仕様の完全な復元が難しい

見た目を完全に復元するのが難しい場合もあります。リペアの目的は、基本的に使える状態に戻すことであり、新品のように見た目まで完璧に復元することではありません。

また、元の商品と同じ色や素材の部品が手に入らない場合は、機能面を優先して別の素材が使われることがあります。そのため、補修した場所が少し目立つ場合もあります。

修理が不可能なケースがある

経年劣化が進んでいる場合や、破損の程度が激しい場合には、そもそも修理ができないことがあります。

また、修理に必要なパーツがすでに販売終了になっていると、部品の入手が困難になり、修理できない場合もあるため注意が必要です。

費用と時間がかかる

事前の見積もりは、写真や動画、文章などの情報をもとに算出したおおよその金額です。しかし、実際に現物を確認した結果、傷の状態や作業条件によって金額が変更となる場合があります。

また、製品を預けてから修理が完了するまでには一定の期間を要するため、すぐに使い始めることはできません。

参照:patagonia|修理受付

企業の取り組みから考えるリペアの事例

企業のリペアサービスは、製品の長寿命化だけにとどまりません。大切な思い出の継承を通じた付加価値の提供、さらには環境負荷を最小限に抑える循環型経済の実現に向けた重要な戦略といえます。

ここでは、住宅・家具・洋服の分野で、リペアを通じて新しい価値を生み出している企業の事例を紹介します。

住宅のリペア「ダスキン(DUSKIN)」

住宅分野では、壁にできた小さな穴や床の傷、建具の欠けなどの傷みを、家全体の工事を行うことなく簡単に直したいというニーズがあります。

ダスキンはこうした要望に応えるため、「ホームリペア」という形で必要な部分だけを補修するサービスを提供しています。壁の穴や床の傷、浴槽の傷などを低料金で補修できるのが大きな特徴です。

例えば、家具を引きずったことでできた10cm程度の床の傷は、2時間程度で補修できます。

リフォームほど費用をかけたくないというニーズに対し、ダスキンは小規模・低料金ですばやく解決するサービスモデルを構築しています。

参照:お掃除サービスのダスキン|ホームリペアとは
参照:お掃除サービスのダスキン|壁・床のピンポイント補修

家具のリペア「家具再生工房リプラス(RePlus)」

家具のリペアは、木部や塗装を直すことで、使えなくなった家具をもう一度使える状態に戻す取り組みです。

家具再生工房リプラスでは、傷や色あせが目立つ家具を修理し、長く使い続けられるようにしています。また、単なる修理ではなく、家族の思い出を最適な形で継承していくことを大切にしている点が特徴です。

家具を捨てずに使い続ける選択は、二酸化炭素の排出量を抑え、循環型社会の実現にも貢献しています。

参照:家具の修理・購入なら横浜市のRePlus(リプラス)|SDGsの取り組み
参照: RePlus(リプラス)は横浜市の家具修理・購入の家具再生工房です。

洋服のリペア「パタゴニア(Patagonia)」

ファッション分野では、衣服の生産から着用、廃棄に至るまで環境負荷を考慮した持続可能な取り組みが近年広がっています。

その中でも、リペアサービスに尽力している企業の一つがパタゴニアです。パタゴニアでは、破れやほつれが出た洋服を修理し、できるだけ長く着続けてもらうことに努めています。

修理の際には、見た目を新品同様に戻すことよりも、洋服が本来持っている機能性を回復させることを重要視しているのが特徴です。

洋服を直しながら着続けることは、新しい服を作るための資源やエネルギーを減らすことにつながります。また、「この服を大切に着たい」という気持ちを育み、消費のあり方そのものを見直すきっかけにもなるでしょう。

参照:環境省|サステナブルファッション
参照:patagonia|修理受付

捨てず長く使い続ける選択肢「リペア」

リペアは、壊れたものを直すだけにとどまらず、暮らし方や消費の考え方そのものを見直す選択肢です。最後に、リペアを理解する上で重要なポイントを整理しておきましょう。

  • リペアは、ものを捨てずに長く使うために必要な選択肢である
  • リペアは、廃棄コストと資源消費を同時に減らす手段である
  • リペアには限界や注意点があり、事前の確認が必要である
  • 企業のリペア事例は、長寿命化と価値の継承を実現している
  • リペアは、環境への配慮と家計の節約を両立できる行動である

ものを捨てずに直す選択は、「無駄に消費しない暮らし」の実現につながります。ぜひ今日から、「捨てない選択」としてリペアを日々の生活に取り入れてみてください。

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