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STEAM教育とは?5つの要素・身につく力・事例をわかりやすく解説

教科ごとに知識を積み上げる従来型の学び方とは異なり、「橋はなぜ落ちないのか」「人口減少をどう食い止めるか」といった問いに対して、複数の分野の知識を動員しながら答えを導く点が特徴です。

日本でも文部科学省がSTEAM教育を推進しており、小・中学校のプログラミング教育や、GIGAスクール構想による1人1台の端末整備を通じて、土台づくりが進んでいます。

この記事では、STEAM教育の5つの要素と定義、日本で重要視されている理由、子どもに身につく3つの力、国内外の具体的な取り組み事例などを解説します。

STEAM教育とは?5つの分野を横断的に学ぶ新しい教育手法

ここでは、STEAM教育を構成する5つの要素と、重要視されている理由を見ていきます。

STEAM教育を構成する5つの要素

STEAM教育は、以下の5つの要素で構成されています。

  • Science(科学)
  • Technology(技術)
  • Engineering(工学)
  • Arts(芸術)
  • Mathematics(数学)

例えば、「学校の廊下が暗くて危ない」という身近な課題に取り組むケースを考えてみます。

明るさ(照度)を測るのがScience、センサーで自動記録するのがTechnology、照明の仕組みを設計するのがEngineering、誰にとっても使いやすい形に整えるのがArts、必要な明るさと設置コストを計算するのがMathematicsです。

なぜ今STEAM教育がサステナビリティに重要なのか?

最大の理由は、定型的な作業がAIに代替される時代に入ったことで、課題を自ら見つけ、複数の分野の知識を組み合わせて答えをつくり出す力が求められているためです。

気候変動や地域格差といった正解のない社会課題に向き合うには、異なる分野を横断して課題を発見し、解決策をつくり出す人材が欠かせません。

STEAM教育はまさにこの力を育むものであり、SDGsが掲げるサステナビリティの実現に直結する取り組みだからこそ、重要視されているのです。

関連記事:子どもとSDGsについて学ぼう!保育現場での取り組みをわかりやすく紹介

STEAM教育で子どもに身につく3つの力

STEAM教育を通じて身につけられる力には、どのようなものがあるのでしょうか?それぞれ詳しく説明します。

1.分野横断的な思考力で多角的に物事を捉える力

1つ目は、1つの事象を複数の視点から捉えられるようになることです。

例えば「川の水質悪化」という問題には、水質検査という理科の知識、上流の産業構造という社会科の視点や、汚染データの推移を調べる数学の視点などが複雑に絡み合っています。

STEAM教育では、1つの課題に対して複数の切り口からアプローチする経験を何度も繰り返します。その過程で、「この問題は理科だけでは解けない」と自然に気づき、必要な知識を自分で学ぼうとする姿勢が育っていきます。

2.自ら課題を発見し主体的に解決する力

2つ目は、与えられた問いに答えるのではなく、自分で問いをつくり出す力です。

STEAM教育のプロジェクト型学習では、出発点が「身の回りで困っていることは何か」という曖昧なテーマから始まります。そのため、「課題発見→原因特定→仮説検証→改善」という一連の流れを子ども自身が担うことになります。

この経験を積み重ねると、初めて直面する問題にも自分から行動する主体性が育ちます。

3.自由な発想で新しい価値を生み出す創造性

3つ目は、既存の枠にとらわれずに新しい価値を生み出す創造性です。

STEAM教育における創造性とは、技術的な裏づけを持ちながら、まだ誰も形にしていない解決策をつくり出す力を指します。

例えば、高齢者が使いやすい道具を考えるとき、必要なのは発想力だけではありません。

使う人の身体的な負担への理解(Science)、軽くて丈夫な素材の選定(Technology)、実際に動く仕組みの構築(Engineering)、思わず手に取りたくなるデザイン(Arts)、コストの見積もり(Mathematics)がそろって初めて、アイデアは本当の価値に変わります。

STEAM教育の具体的な取り組み事例を紹介

STEAM教育は、国内外ですでに実践されています。ここでは、国内と海外のそれぞれの事例を紹介します。

八丈町立富士中学校のAIを用いた地域課題解決学習

東京都の八丈町立富士中学校では、文部科学省による「リーディングDXスクール事業」の一環として、2024年1月にAIを活用した地域課題の解決に向けた学習に取り組みました。

八丈島は離島であり、人口減少や観光振興など、生徒にとって身近な課題を抱えています。生徒たちは情報収集や分析、アイデアの検討のプロセスでAIを活用しながら、解決策を形にしていきました。

AIを「思考を広げるための相棒」として使う点が、この実践の大きな特徴です。

アメリカのAccelerate STEAM Education: The 2025 GM Challenge

アメリカでは、「Accelerate STEAM Education: The 2025 GM Challenge」というイノベーションコンテストが実施されました。

「Accelerate STEAM Education: The 2025 GM Challenge」は、あらゆる人がSTEAM教育を受けられる機会を広げる方法や、指導者不足を解消するためのアイデアを募り、特に優秀なソリューションを提示した参加者には総額25万ドルの賞金が贈られるプログラムです。

学校教育の枠を越え、社会全体でSTEAM分野の人材を育てていこうとする姿勢がうかがえる取り組みです。

家庭でSTEAM教育を実践するための3つのアイデア

STEAM教育は学校だけのものではありません。特別な教材や知識がなくても、家庭で実践できます。ここでは、家庭でできる3つのアイデアを紹介します。

1.知的好奇心を引き出すプログラミングトイで遊ぶ

プログラミングトイを選ぶ際は、次の3つのポイントに着目するとミスマッチを防げます。

  • 対象年齢が合っているか
  • 正解が1つではなく、自由につくり変えられるか
  • 子どもが1人でも遊び続けられるか

例えば未就学児には、画面やコードを使わない「プログラミングロボ コード・A・ピラー」「ロジカルルートパズル」などが適しています。

小学校高学年の子どもには、「Codey Rocky」のように、自分でプログラムを変えられるロボットがおすすめです。

2.身近な材料を使った工作に挑戦する

段ボールや落ち葉などの身近な材料を使って、STEAM教育を実践することもできます。

例えば牛乳パックで椅子をつくる場合は、強度や大きさ、色などを自分で考える過程で、科学・技術・工学・芸術・数学を同時に学べます。

3.美術館や科学館で本物に触れて感性を刺激する

美術館や科学館に足を運び、ワークショップに参加するのもおすすめです。

例えば日本科学未来館や名古屋市科学館(FUJIなごや科学館)では、実際に体験できる展示が充実しています。

美術館でワークショップに参加すれば、作品を「見る」だけでなく「つくる」「言葉にする」体験もできるため、Artsの視点を身につけられます。

日本におけるSTEAM教育の普及に向けた今後の3つの課題

日本のSTEAM教育には解決すべき課題も残されています。主な課題について見ていきましょう。

1.専門的な知識を持つ指導者の育成

最大の課題は、複数の分野を横断して指導できる人材が不足していることです。

STEAM教育では、複数の教科にまたがる幅広い知識と、それらをつなげて授業を設計する力が求められます。しかし、日本の中学・高校では教科担任制が基本となっており、教員の専門性も教科ごとに縦割りで形成されてきました。

教員の多忙さが指摘されるなかで、新しい指導法を学び直す時間の確保も現実的な壁となっています。

2.学習の成果を可視化する新しい評価基準の確立

2つ目の課題は、成果をどう評価するかが定まっていないことです。

STEAM教育が重視するのは、正解にたどり着いたかどうかではなく、課題を見つけ、試行錯誤し、他者と協働したプロセスそのものです。しかしこれらは、テストの点数のように数値化できません。

そのため、次のような評価手法の導入が模索されています。

  • ルーブリック:評価の観点と到達段階を事前に言語化して共有する
  • ポートフォリオ評価:制作物や記録を蓄積し、変化の過程を見る
  • 相互評価・自己評価:他者からの視点と、自分自身の振り返りを組み合わせる

3.学校によるICT環境の格差

3つ目の課題は、学校や自治体によって環境に差があることです。

GIGAスクール構想によって1人1台の端末整備自体は全国的に進みました。しかし、通信環境の安定性や、端末以外の機材(3Dプリンターやセンサーなど)の有無などは、自治体の財政状況や、教育行政の優先順位によって差が生まれやすい領域です。

地域や家庭の経済状況によって受けられる教育の質が変わらないよう、継続的な支援の仕組みづくりが求められています。

関連記事:世界で広がっている教育格差|その現状とSDGs達成への取り組み

STEAM教育に関するよくある質問

STEAM教育を調べるなかで多くの方がつまずくのが、STEM教育との違いや家庭での始め方です。この2点についてお答えします。

STEM教育とSTEAM教育の違いは何ですか?

主な違いは、構成要素・重視する問い・想定する答え・目的の4つです。

STEM教育 STEAM教育
構成要素 科学・技術・工学・数学 科学・技術・工学・数学+芸術
重視する問い どうつくるか 何を、なぜつくるか
想定する答え 論理的に正しい解答 状況に応じて納得できる解答
目的 科学技術人材の育成 課題発見力と創造性の育成

STEM教育に「A(Arts)」が加わったのは、論理と技術だけでは「そもそも何をつくるべきか」という問いに答えられないためです。

STEAM教育はSTEM教育を否定するものではなく、STEM教育の土台の上に「意味づけ」と「表現」を加えたものとして理解するとわかりやすいでしょう。

家庭でSTEAM教育を始めるには、何から取り組めば良いですか?

STEAM教育は、次のような身近な活動から始められます。

  • 料理:計量、加熱による変化、盛り付けを体験する
  • 自然観察:植物や昆虫を観察し、気づいたことを記録・スケッチする
  • 廃材工作:家にある材料で、動く仕組みや装置をつくってみる

大切なのは、大人が答えを先に言わないことです。「どうしてこうなったんだろう?」「次はどうしてみる?」と問いを返すだけで、単なる遊びは探究に変わります。

まとめ|STEAM教育で変化の時代を生き抜く力を育てよう

STEAM教育とは、科学・技術・工学・芸術・数学の5分野を横断的に学び、実社会の課題解決につなげる教育手法です。本質は、答えのない問いに出会ったとき、複数の視点から考え、失敗しながら自分なりの答えをつくり出す力を養うことです。

まずは今日、子どもが「どうして?」と口にしたときに、すぐ答えを教えずに一緒に考えてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。

参考一覧

参考:ビジネスと人権に関する指導原則:国際連合「保護、尊重及び救済」枠組実施のために(A/HRC/17/31) | 国連広報センター
参考:STEAM教育等の各教科等横断的な学習の推進:文部科学省
参考:生成AIを活用した探究的な学び 八丈島における地域課題解決の企画・発表|八丈町立富士中学校|取組紹介|リーディングDXスクール|リーディングDXスクール
参考:GM STEAM Education Challenge|MIT Solve

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