エシカルライフ

シェア畑とは?メリットとデメリット、企業事例も紹介!

「野菜を自分で育てたいけど、畑を購入するのは勇気がいる」「自然に触れたいけれど、都心では難しい」など、農業に興味があるものの、最初の一歩が踏み出せず悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

そのような方におすすめなのが、野菜栽培が未経験の方でも手軽に農業を始められるサービス「シェア畑」です。

一つの農地を区分けし、みんなで共有すれば、一人ひとりの負担を減らせるのが魅力です。

また、シェア畑は、日本の農業や社会においてもメリットが大きいと注目されています。

この記事では、シェア畑の意味、メリットとデメリットを解説し、日本の農業が抱える課題に対して期待できる役割も紹介しています。

社会的意義のあるシェア畑を知れば、農業がさらに身近な存在になるかもしれません。

シェア畑とは

シェア畑とは、農地を区画に分けて貸し出すサービスです。

農業未経験の方や農地を所有していない方でも、気軽に畑で野菜作りを始められます。

また、サービスによっては、道具の貸し出し、プロのサポートなどがあり、初心者へのフォローが充実しているのも魅力です。

さらに、シェア畑のターゲットは個人だけではありません。

マンションや企業がシェア畑を契約するケースもあります。

シェア畑の市場は個人だけではなく、企業や団体に向けても展開できるため、今後の市場拡大も期待できるのではないでしょうか。

日本が抱える農業課題

シェア畑は、日本の農業が抱える課題を解決する手段の一つとして注目されています。

持続可能な食料生産を実現するために解決すべき課題と、シェア畑との関係を解説します。

①食料自給率の低下

令和4年度の食料自給率(カロリーベース)は、38%で、日本で消費される食料のうち、約60%は輸入に頼っているといえます。

他の先進国と比較しても、非常に低い数値です。

食料の輸入が多くなるほど食料の確保が不安定になり、価格が高騰するリスクも高まります。

持続可能な食料生産を実現するためには、食料の国産率の向上が欠かせません。

そこで、シェア畑のように自分が食べる分の野菜を栽培することで、食料自給率の向上に貢献できます。

参考:農林水産省|日本の食料自給率

②農家の高齢化と人手不足

日本の農家人口は長期的に減少しています。

令和2年には、個人で農業を営む基幹的農業従事者が136万3,000人で、15年前の平成17年の224万1,000人と比べると39%減少しました。

さらに、令和2年の基幹的農業従事者数の70%が65歳以上で、高齢化も大きな課題です。

農業へ新規参入する若年層が少ないため、今後さらに人手不足が深刻化すると懸念されています。

こうした中で、誰でも手軽に始められるシェア畑は、「農業を始めてみよう」というハードルを大きく下げるサービスです。

シェア畑をきっかけに、農業へ新規参入する方が増える可能性もあると注目されています。

参考:農林水産省|令和3年度 食料・農業・農村白書(令和4年5月27日公表)

③農地面積の減少

日本の農地面積は減少傾向にあります。

都道府県別にみると、とくに首都圏、東海や四国の減少率が高いとされています。

  • 昭和35年:607万ha
  • 平成17年:469万ha
  • 令和3年:435万ha

昭和35(1960)年と比べると、田畑の面積は28%も減少しているのが現状です。

農地が減少する理由の一つは「荒廃農地」です。

所有者の高齢化や病気、労働不足が原因で農地としての管理が困難になっていることを指します。

シェア畑は、荒廃農地を再生し、農地面積の増加に寄与することが期待されています。

参考:農林水産省|令和3年度 食料・農業・農村白書(令和4年5月27日公表)
参考:農林水産省|荒廃農地の現状と対策

シェア畑のメリットとデメリット

シェア畑は、日本の安定した食料生産にもつながると期待されていますが、他にも多くのメリットがあります。

利用者や社会にとってのメリットを紹介します。

①農地を有効活用できる

カーシェアリングの畑バージョンともいえるシェア畑は、シェアエコノミーの観点からも注目されています。

シェアエコノミーとは、ものやサービスを共有することで資源を効率的に利用する経済の形です。

農地をシェアすることで、使っていない農地の有効活用が進み、農業にかかるコストや負担を減らすことが期待できます。

また、すでにある農地や道具を共有することで、新たな生産や消費を防ぎ、環境負荷の軽減にも貢献します。

②新鮮な野菜を手に入れる

自分で収穫した野菜を食べられるのは、シェア畑の大きな魅力です。

新鮮な野菜を楽しめるだけでなく、どこで誰が作ったのかが明確なので、安心して食べられます。

とくに首都圏では、「子どもに自然体験や野菜栽培をさせたいけれど、なかなか難しい」と思っている方もいるかもしれません。

しかし、シェア畑であれば、子どもと一緒に自然に触れ合い、農業の大変さも学べます。

畑で野菜を一から育てる経験は、食育の観点からもメリットが大きいでしょう。

③コミュニティの形成

シェア畑は、コミュニティの形成にも役立ちます。

みんなで畑をシェアするため、「農業に興味がある」「野菜を自分で作りたい」など、同じ価値観を持った仲間にも出会えます。

みんなで一緒に作業すると、地域のつながりが深まり、地域活性化も期待できるでしょう。

シェア畑のデメリット

社会的意義があるシェア畑ですが、利用するにあたってデメリットもあります。

シェア畑の理解を深めるために注意すべき点を紹介します。

①初期費用

シェア畑を利用するには、登録料やレンタル料などの費用が必要です。

また、道具、種や苗などの初期費用も発生します。

しかし、農地を購入するよりもはるかにコストを抑えられるでしょう。

②時間と労力

畑は借りられるとはいえ、自分で野菜を育てるのは簡単ではありません。

種まきや水やり、追肥、害虫や病気対策など、定期的な手入れに時間と労力が必要です。

それでも、シェア畑の利用を通して、野菜の特徴や栽培方法をより理解できます。

③天候の影響

野菜の栽培は天候の影響を受けやすく、雨や風、気温などによっては、手間ひまをかけて育てても収穫できないことがあります。

お金を払って利用する際には、収穫できる保証はないリスクも考慮しておくことが大切です。

シェア畑の企業事例

日本の企業や自治体では、シェア畑の事業を展開したり、シェア畑を利用したりする事例が増えています。シェアエコノミーの形成に貢献している企業事例を解説します。

プランティオ

プランティオは、デジタル栽培プラットフォームを通じて、農業に触れる機会を提供している企業です。

サービスの一つである「grow FIELD」は、都会でも気軽にシェアしながら野菜を育てられる​​コミュニティファームです。

日本で初めてシェア畑にIoTなどのデジタル技術を導入しました。

例えば、IoTセンサー「grow CONNECT」は、日照量・土壌水分量・土壌温度などのデータを計測し、最適な栽培方法をアドバイスします。

また、スマホアプリ「grow GO」は、野菜作りや仲間とのつながりをサポートするアプリです。

手入れのタイミングを知らせたり、野菜栽培の学びや成果を共有したりできます。

さらに、コミュニティ機能を通じて野菜作りをより楽しめます。

参考:プランティオ株式会社

アグリメディア・シェア畑

アグリメディアの「シェア畑」では、サポート付きの貸し出し農園を提供しています。

季節に応じた種や苗、肥料、農具をすべて農園に完備しており、手ぶらで通えるのが魅力です。

さらに、経験豊富なアドバイザーが在籍し、困ったときにはすぐに質問できるため、初心者でも安心な環境が整えられています。

忙しくて月に1、2回程度しか通えない方には、お世話サポートサービスも用意されています。

これにより、誰もが気軽に農業を始められるでしょう。

参考:シェア畑
参考:株式会社アグリメディア|消費者向け事業

農地と心が豊かになるシェア畑

シェア畑は畑のレンタルサービスです。

これまで使われていなかった農地をみんなでシェアして野菜を育てることで、荒廃農地の減少や食料自給率の増加など、日本の農業課題の解決が期待されています。

また、すでにある土地や道具などを共有することは、シェアエコノミーの一環として、環境負荷の軽減にもつながります。

さらに、自分で一から野菜を育てる経験は心の癒しになるとともに、子どもの食育や自然体験にも貢献するでしょう。

持続可能な社会の実現のためにも、企業でも福利厚生や新事業としてシェア畑の導入もご検討ください。

自分で育てた野菜を食べる楽しさを、ぜひシェア畑で体験してみてはいかがでしょうか。

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